路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#44 パンク・バックトゥ・ファーザー

 感想書き始める今の今まで、「バックトゥ・フューチャー」だと思ってました。いやパロなんだろうけど。夢の親子共演なのに、ものすごい勢いであっさり実現したので戸惑ったり感慨を楽しむ暇がありませんでした!後で種明かしされたけど、最初は何事かと思ったもんな(笑) いや、内容的には全然笑い事じゃないんですが。


■渡
 やっぱりか。やっぱりそこで自己否定に走るのか。前回も書いたとおり「自分が行動することによって悪いことが起こってしまった」というのが連続して起こり、とどめには不可抗力とはいえ自分の手で好きな人を死なせてしまったわけだから、渡の思考的には解るんですよね。元々自責的というか、何かあっても他人のせいにできない人ではあったわけだし。(なんせ音也の仕業(それも半分くらいは被害者の自業自得)を「僕が償います」って言っちゃう子だからな)
 しかも今回は太牙にまで「なぜ深央を殺した」って言われて、自責に加え他人からも断罪されてダブルパンチですよ。そりゃぁ視野狭窄にもなるって。これが昔の渡だったら、また引きこもって緩慢な自殺を図るところなんだろうけど、そこで「自分を消しちゃえばいいんだ」という方向へ変に前向きになっちゃうのは……名護さんの影響なんだろうか。なんとなく。あの変なめげなさとか、ちょっと似てきてないか?
 しかし、実際のところ自分さえ居なくなれば、というのは、世界の全てを拒絶してるのと同じことな訳で(って前にもどっかで書いた、これ)ある種暴君化してるともいえるかと。そこは親父に殴られて目を覚ますべきだと思う。
 とりあえず、過去で両親に触れて「自分は望まれて生まれてきたんだ」ということと「為されてしまったことは、それを背負って生きるしかない」ということを感じて帰ってきて欲しいですな!


 対音也、他過去メンバー。
 親子初対面!初対面である以上、映画は確実にパラレルなんですね。もっとも、あれだけ親子の絆やっといて「僕を生まれさせないで」ってのはできんだろ。もしくは一度未来に来た人間が元の時代に帰っても、未来での記憶は無くなるとかならまあ……。いやまあ、そこまでして映画とつなげる必要はないですね。閑話休題。とりあえず親子初対面!


 渡が「僕を生まれさせないで」と言ってるわりに、紅邸での親子確認のの一連のシーンが嬉しそうなのが切なくてね!渡としては、憧れ続けた父親との初めての対面な訳で、嬉しくないわけがない。それなのに渡が頼んでることは「自分を消してくれ」ってことで、言うなれば渡的には「最期の思い出作り」のつもりなのかな…と思うとさぁ。
 それにしても、音也に対しても妙に冷静だったね。時渡りが初めてだったにしては戸惑ってもいなかったみたいだし。それだけ自分を消すことにしか目が行ってなくて必死だったのか…。あーあーあー。


 そういえば、ゆりが恵のお母さんだってことは、渡は知ってたっけ?知らなかったっけ?6話でゆりの写真は見てるはずだけど、恵との繋がりはどうだったかなぁ。もし知ってたんだったら、ゆりと音也をくっつけることで恵が生まれないことになる、という可能性にも気付いて欲しいところ。


 全然関係ないけど、時間改変ネタは映画とテレビ合わせて都合3回やってるけど、それぞれ「変えなくてはならない過去」「変えられなかった過去」「変えてはいけない過去(多分)」と全部バリエーションつけてあるんですね。同じ時間改変ネタでも余り単調に感じないのは、そのせいか。


■ゆり
 ゆり、カッコよすぎる……!真夜を認めたからこそ、真夜は自分以上に音也を幸せにしてあげられると踏んで音也に別れをプレゼントしたんだね。あくまで判断基準が自分のためじゃなく、音也のため。ゆりもどんだけ音也を愛しているのかと。正直この件に関しては、音也はかなりずるい。自分の気持ちが真夜に向いちゃってるのを自覚しながら、責任を取るつもりか、自分からはゆりと別れようとはしてないわけだからね。もっとも、そういうずるい音也がいるから、ゆりの潔さ、カッコよさが引き立つわけでもあるんだけども。
 そして、真夜を認めているからこそ、音也との間を取り持つようなこともするんだよね。きっと、音也だけでなく、真夜にも幸せになって欲しいと思ってるんじゃないかな。全てのしがらみがなくなったら、この二人の女の友情きゃっきゃうふふな話とかも見てみたいよ。お互いの子供連れでさ〜…。本編じゃ実現しないだろうけどな。


「ゴメン、わざとだ」ってセリフが、なんとも言えず良いんですよ。理屈では自分と別れた方が音也は幸せになれる。だけど別れたいわけじゃない。本音を言えば音也が真夜に心を移さなかったら……と思わないわけがない。それ全部ひっくるめてあの一言に詰まってる。すげーなー。


 そういや本筋からずれますが、真夜は元々ファンガイアで、ゆりからすれば憎むべき存在なんだよね。それがファンガイア、人間という種族を超えて「真夜」という個人として認めてる裏には、次狼とかラモンとか力の存在があるんじゃないかなぁ……と思う次第。例え人間ではなくても、同じように生きて悩んで……という存在を見ているからこそ、真夜という個人も受け止められたんじゃないかと。音也の「次狼たちを助けに行く」ってセリフにも動じてなかったし。ラモンと力の過去編での存在意義は、案外こういうところにあるのかもしらん。


■真夜
 こうやって狙われ続けて、結局現在編みたいなことになっちゃうんだよな……。ファンガイアがポーラだったのは、前の伸二の時に被せてんですかね。この時は「会いたい……音也」だった真夜が、「辛いけど後悔はしていない」と腹を括ることができるまでになった背景には、やっぱり音也と渡への愛があるんだろうな。
 そして、ゆりに「死ぬ覚悟はある?」と訊いた真夜が、「俺と生きて行く覚悟はあるか?」と問われるのが、また見事な逆転構造で趣き深いね。ファンガイアとしての力を失って、どう生きていけば解らないとまで言った真夜のこの頷きには、ものすごい重さがあるよ。


 そして、どうやらキングから太牙を預けられたっぽいですね。この後どうして太牙が嶋さんに預けられることになるかってのが描かれるかな。ということは、真夜から太牙への愛情も描かれるわけで……。楽しみすぎる!


■音也
 ゆりの項ではずるいと言っちゃいましたが、別の目線で見ると、心は真夜に惹かれていてもゆりと添い遂げることで責任を取ろうとしているように見えなくもなく、その覚悟をカッコいいと言えば言えるのかもしれない、と思います。責任感で一緒にいようとされるゆりにとっては、バカにすんなって事になりますが。でも、「結婚は人生の墓場だ」とか言ってたような音也が、そういう形で責任を取ろうと考えているんだとしたら、これは音也的には相当な覚悟だとは思うわけで。決断の良し悪しはともかく、覚悟の重さとしてはものすごくカッコいいよな、音也。くっそう。
 真夜にプロポーズするまでにもう少し時間があったらよかったかなとは思うけど、それは仕方がないか。


 そして親子対面!音也的には「なんだこいつ」以外の何者でもないけどね。それにしても、紅家の人間には変なことが遺伝するんだな!(笑)
 映画では成し遂げられなかった親子風呂が実現して、嬉しいやら切ないやら。風呂に一緒に入った記憶がない→息子の記憶に残らないくらいで自分は死ぬか行方不明か、とにかくどうにかなっちゃうってのが明言されたわけだからね。それならせめて、別れることになるまでは精一杯愛してやろうと思うんだろうに、その対象である渡は「僕を生まれさせないで」と来たもんだ。殴れ、親父!殴ってやれ!


 つーかまあ、そんなこんなで、初対面に初風呂に初親子共闘に初親子喧嘩と、盛り沢山でお初色々やっちゃったんだけどもね!イクサvsエンペラーがこういう形で入ってくるとは思わなかったよ。パワーのキバと、テクニックの音也イクサって感じが何かたまらん!
 そして映画以来の親子共闘!ダブルライダーパンチにダブルライダーキックってのはただでさえ無条件に燃えるのに、それが初の親子共闘となったらもう!もう!そして相変わらず色々バトルでくっちゃべってる音也のセリフがおもしろすぎる。


■過去キング
 ちょっと!いきなり死亡フラグっつーか、病みフラグ立てたよ、この人!太牙連れ出して真夜に預けたんだよね?どこへでも好きなところへ行くがいい、って言いながら自分の息子を託すっていうのは、この人死ぬ気まんまんじゃね?予告の真夜のセリフを考えるに、音也に対して「お前を殺して俺も死ぬ」になっちゃってる気がするんですけど、この人……!つーか、やっぱりなんだかんだ言って真夜のこと愛しすぎだろ。
 それってつまり、キングとしての職務を放棄して愛に準じようってことですよね。……それだけ真夜が好きなんだったら、お前が真夜に愛を教えてやっとけばよかったじゃんかよ!バカ!パパのバカ!


 しかし、そうは思うんだけども、太牙をつれて真夜の前に現れた姿は、どう見ても男やもめの悲哀が漂っていて切ない通り越して笑っちゃったんだぜ。ごめん、キング。
 そして、どうせなら黒沢の所に太牙を残しておけば、少なくとも22年後の悲劇はなかったんじゃないかと思うんだが……まあ、視聴者目線ですよね。自分が死んでも、息子は母の元にいて欲しかったという、パパなりの愛だったんだろうし。


■太牙とビショップ
 実際のところ、太牙もあれが渡のせいだと心底思ってる訳じゃないんじゃないかな。渡的には不可避だったろうし、あそこで深央が飛び込んでくるなんて太牙的にも予想外だったろうし。頭は良い子だと思うから、あの段階では誰も悪くないのは解っていて、それでも渡に八つ当たりするしかできないんだと思う。深央にあれやこれやを問いただしたくても深央はいないし、ホントに好きになった子だから「深央が悪い」ことにはしたくないだろうしね。
 だからこそ、渡の首を絞める、っていう手段で向かっていったんじゃないかなぁ。本気で殺す気だったら蛇でも何でも出せただろうしさ。腹の傷があってもうサガには変身できなかったんだとしても、サガークをけしかけることもできただろうし、あの時の渡ならそれでちゃんと(っていうのは変だけど)殺せたと思うよ。それをしなかったのは、やっぱり深央も嶋さんも亡き今、自分を愛してくれるのは渡だけだって内心では解ってるからだろうね。憎い相手だけど殺せない。ものすごい二律背反ですよ。
 過去編でパパに病みフラグ立ってるし、現代過去でキング同士が対比してるのだとすると、太牙も病み一直線になってないか……?なんかの力(闇のキバの力?)を使って渡を殺そうとするんだけど、結局殺しきれずに自分がその力を引き受けて死亡とか、マジでやりそうな雰囲気になってきたんですけど!


 あ。そういえば、太牙は手袋をまだ嵌めてましたね。やっぱり、嶋さんの残した唯一のものだから、捨てられなかったのかな……。この、すれ違い親子め……っ!


 そしてビショップ。意外と「太牙」に愛着はあるのかな。ただ未だに対外的には「キングの」としか言ってないけどね。もしかすると、前任のキングがやっぱりファンガイアの掟的には宜しくない落命の仕方をしていて、それで今回のキングには何が何でもファンガイアとしての使命を全うしてもらうぞ、ってだけかねぇ。
 やっぱりビショップって頭脳労働担当なんだな〜。ちょっと負け戦多くね?しかしこんだけ絡むってことは、ビショップと名護さんはライバルラインですね。うーん。次にイクサと当たったらビショップが負ける気がする…。あああ。


 ついでに、予告で太牙に殴られてたのは何でだろうな。太牙的に「余計なことをするな」なんだろうけど。じゃあやっぱり渡の今後に関する話かな。それともうっかり太牙の前で「出来損ないのクイーン」とか口走っちゃったかな。


■名護さん
 なんか、初期の名護さんが戻ってきた(笑)なんか、なつかしいなぁ、こういう雰囲気。それなのに、カフェに嶋さんがいないんだぜ。恵の切なそうな顔とか、嶋さんの分もコーヒーを用意するマスターとか。もう!もう!!


 しかし名護さん。あくまで目指すものは恒久の平和であって、自分の統治下に置いた独裁管理社会ではなくなってる辺りが、名護さんの成長かなぁ。しかしマスターとの体脂肪対決とか、服装とか、形から入ろうとする辺りが実に名護さんだな!名護さんなりの気遣いなのかも知れんけど。……まあ、斜め上ですよね。

 
 だがライジングイクサは超カッコいいんだぜ!剣→蹴り→銃と流れるような技の連続!あれだけ翻弄されていたライジングイクサもすっかり使いこなしてまあ……!それにしても次郎さんの足技カッコよすぎる。たまらん。


■記号
 弦楽器のダウンピッキングでしょうか。音的には低音から高音へ。そういえば32話がアップピッキングじゃないかとか書いてましたが、あの時は「雰囲気が重くなっていくのを示唆」とか言ってましたね。それに倣うなら、渡の心が晴れて、だんだんと高い方へ向かって行くことを示唆してくれていたらいいなぁと思います。


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