路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#47 ブレイク・ザ・チェーン・我に従え!

 この期に及んでなんてことを…!なんてことをするんだ井上ー!ありがとう、もっとやってください!
 人間とファンガイアという二つの種族の物語が、渡と太牙の兄弟に収束していくのがやっぱきれいな形ですかね。一回目見た直後はどうなるんだこの後、的なぐるぐる感で一杯でしたが、何回か見たらなんとなく落ち着くところに落ち着くような気がしてきた。なんか安心してきた。(とか言ってるとどっぎゃーんなことになるので、最後まで気が抜けないのも井上クオリティw)
 とりあえず、ラストは「そして一年後」再びな気もする(笑)


■渡
 前回でも出ていた通り、渡としてはファンガイアと人間の間隙を無くしたい訳ですよ。深央さんのような存在を無くすためにね。で、音也を愛した真夜をはじめ、人間とファンガイアが(食性は置いておくとして)互いに尊敬しあい、愛しあうことができるというのは、散々やってきたとおり。邪魔をしているのはファンガイア側の掟なんですよね。その掟がなぜ作られたのかという点はこの際置いておいて、少なくともこの掟さえなくなれば人間とファンガイアの融和は一歩進む。その為にファンガイアの中で一番強くなる→僕がファンガイアのキングだ、というのは解る気がします。
 実際、ファンガイアのキングになる、とは言ってるけど、「キングになって人間を支配する」的なことは一度も言ってなかった筈で、「僕の考え」ってのが次回明らかになるんじゃないかと。もともと人間対ファンガイアに限らず、人間同士でも諍いが起こるのを憂いている節はあったけど、自分が人間の立ち位置でいること自体にはそこまで執着があるように見えなかったし、人とファンガイアが共存できる世界を作れるなら自分がどっちの側にいても無問題、ってことなんでしょうね。


 今回は太牙はストレートにかわいそうだったんだけど、渡もなんとはなしに痛々しかったです。渡の本質は、多分真夜のところで見せていた「誰かを護るために強くなりたい、でも僕にはその力が足りない」と言ってる姿だと思うんですよね。そして真夜も認めていた通り、それだけ渡は優しいというのが根っこなんじゃないかと。
 その優しさゆえに「キングになる」と言い放って、そのように振舞っている姿は、カッコいいんだけど無理している感がひしひしとするんですよね。先代キングの衣装を身につけたっていうのも、恐らくは形から入ることで内面の優しい部分、「ファンガイアのキングに相応しくない部分」を鎧うためではないかな、と。予告であのコートを脱ぎ捨てて変身しているシーンがあるんですけど、それはその縛りを抜け出したって事じゃないかと思うんですけどね。さて。


 時に、やっぱり渡は太牙をキングという座の重責から解放してやろうとしている気がします。それどころか、自分という言ってみれば太牙自身の不幸の諸悪の根源である渡への執着すらも無くしてやろうとしてる気がする。
 太牙(渡もだけど)が苦しんだのは、渡が親友で、且つ半分とはいえ血を分けた弟だったから、ファンガイアのキングとしては並び立たないものを無理にどっちも取りしようとしてたせいって部分もあったと思うんで、渡とのしがらみだけでも切ってやろうとしてるというか。


 それにしても、眼光だけでファンガイアを退ける渡はカッコよすぎだ!1話と!比べると隔世の感だよ!


■太牙
 あんたって子はーーーーーー!!!!ああもう!


 渡が言ってる通り、弱いキングはファンガイアには必要ないんだね。ファンガイアは人間の中に紛れて生きてるけど、恐らく数自体としては決して多くはないはず。その分各個体が強靭で寿命が長いことでバランスを取ってるんじゃないかな。でもイクサの例もあるし、キバみたいな存在もある。普段はキングの統率なんかは必要ないけど、いざ種の存続に関わる事態が起こったときには、その脅威を排除できる力を持った存在をキングに据えておくってことなんじゃないかな。その代償にファンガイアは敬意を払うし、クラゲの時みたいなキングの乱心による仲間の殺害なんかも大目に見てる、ってことなんじゃないかと。
 だから太牙がキングのことについて話すときは「べき」論ばっかりになるのか。もともとがそういう性質のものなら責務を果たさないと「キング」の座から引き摺り下ろされる訳だし、「キング」を失ってしまえば太牙はファンガイアの中に居場所が無くなることが解ってた訳だろうから。太牙の場合は、既に人間の中にも居場所を失っているという過去があり、そのくせ愛情だけは求めまくってる訳だから、何があっても「キング」だけは無くすわけにはいかなかったと。切ねぇなぁ。


 地位としての「キング」と力としての「キング」ってのは完璧なイコールじゃないのかもね。ほとんどイコールではあるんだろうけど。赤ん坊の太牙にキングの力が移ったのは、あれはキングの力が太牙を選んだってことだと思う。(というか、先代を見限ったんだけど、その場には純ファンガイアの男は太牙しかいなかったからそっちに移っただけかも。もちろん、器を見込まれたという可能性もあるけど。)
 ついでに言うと、その力が次のキングである太牙(と真夜)を護ってバリアを張ったから、先代キングは自らの力で自滅したとも言えるので、太牙の父殺しの罪は無いものとしてカウントされそうな気がするんだが。閑話休題


 そして嶋さんですよ!参った、こう来るとは思わなかった。殺せなかったんだ…!どれだけ自分を「黴菌のような目で見ていた」と思っていた相手でも、それでも嶋さんのことは殺せなかったのか……。
 嶋さんをファンガイア化したのも、本当に助けたかったからなのか。ついでに渡を本気にさせる(ちゃんと登太牙として見てもらう)ために利用しただけ?それにしても、一度ああまでファンガイア化したものを人間に戻せるもんなんだろうか。その変化は不可逆的なものじゃないのか。それとも、蘇った嶋さんがそうやって言ってるだけなのか。うーむ。その辺はよく解らん。


 太牙が真夜に縋って本音を吐き出すシーンは、マジで泣いたね。太牙の意識としてみれば、自分のせいじゃないのに何もかも奪われてきた、どこにも居場所が無い、愛情を与えてくれる人が居ない、という状況だった訳だし、最後に自分で必死に護ろうとしたキングの座も敗北によって奪われた。(しかもそれも、異父兄弟の渡が父親と母親からの愛情を受け取ったために強くなった(=優しさを知った)せいってのがまた…) あの時点では「もう誰も信じない」という状況まで追い詰められてた訳ですよね。あの太牙を逆切れして親を刺した、と切って捨てるのは簡単だし、「人の話を聞けよ」と言うのも簡単なんだけど、それをできないくらい追い詰められてたということではある訳で、切ないなぁ…と。人間、そう理想通りなんて行動も考えもできないもんだしね。
 あの太牙が正しいという気は毛頭ないですが、ああいう人間くさい愚かさゆえに太牙は愛しいと思う訳ですよ。


 つーか、ダークキバ装着しちゃった!キバットバット二世はきっとずっと真夜の近くにいて見守ってたんだろうと思うけど、それと太牙を気に入ってキバの鎧を授けた理由がちょっとよく解んなかったなぁ。先代キングが真夜から力を抜き取ったときは、先代が気に食わなくて裏切ったんだろうに、真夜を刺した太牙はお咎めなしで「気に入った」なの?んー。その辺はもうちょっと考える余地があるなぁ。
 あとは、実は真夜は死んでないってことがありうるか。激情に駆られて刺しちゃったけど、結局は手当てした、的な。真夜はガラスになって砕けてなかったしね。ただ、それは真夜が力を抜き取られていたからかも知れず。うーん。もしくは逆に真夜を殺してくれたからこそ、なのかも。やつれてはいたけど歳自体はとってなかったみたいだし、真夜の寿命だけはまだまだあったのかも知れない。そうするとまだまだ気の遠くなるような時間を、狙われ続けてああして隠れ住むようなことになってたわけで、そんな運命から真夜を救った、という意味で太牙を評価したのかも。真夜は死ぬことでようやく音也の元へ逝けたという側面もあるかもしれないし、もしそれなら真夜の精神的には救いだったかも知れないしね。まあ、詭弁ですけど。


■嶋さん
 やっと気付いたよ!やっと太牙の優しさに気付いてくれたよ!これで太牙が死ななければ、もしかするとまた親子としてやり直せるのかもしれないと思うと、なんか涙でそう。太牙が予告でスーツを着てたことを考えると、青空の会は太牙が継ぐ事になるのかもね。さてどうなるんだろう…。


■名護さんと恵
 誰しも突っ込む「誰か名護さんを病院に連れてってやれ」ってのは、きっと画面に映ってないところで連れてったんだと思うんですが(笑)


 いやまあしかし、笑い事じゃない訳ですよ。もうすっかり名護さんの成長譚は決着着いたと思ってたから、まさかまだここでもやるとは思わなかった!確かに自分のためでなく他人のために正義を行うことはできるようになってたけど、「自分の弱さ(や過ち)を認める」事にかけては、まだ特に言及されてなかったもんね。
 もしこれが初期の名護さんだったら、例え攻撃が一般人を巻き込んだとしても、イクサナックルを手放すなんてことはやらなかったと思うわけで、それを恵の力を認めてイクサナックルを託そうとするというのは、自分の現弱点を認めることができてるってことか。なんて成長したんだ、名護さん……!そんな名護さんだからこそ、恵も「このナックルは名護君のでしょ」と、戦士としての名護さんを認めることができてるんだと思う。でも認めたときには名護さんの目は…ってのはなかなか切ないな。(まあ、無事に治るんだろうってのはお約束的なもんで、突っ込むところじゃないと思うが)


 恵との連係プレーはちょっとぐっと来た。ただ、それでもまだ翻弄されっぱなのは目が見えないってだけでなく、名護さんの戦う意思がまだへこんだままだからなんだと思う。目が見えないとは言っても、画面で見る限りでは極度の乱視、って感じで、全く視力が無いわけじゃない。つまり「完璧な自分じゃなくなった」から自分にはもう無理だ、と思ってるってことなんじゃないかと。
 現状の「完璧じゃない自分」を認めて、それをカバーするような戦い方が(恵と共に)できたら、そのときこそ名護さんは弱さを克服して、過去の自分に決着をつけられる……んじゃないかな?


■ビショップ
 相変わらず怖いですよ、ビショップ!今回でビショップはなんかファンガイア的にも踏み込んじゃいけない領域に踏み込んじゃったんじゃないかって気がする。なんとなくだし、それが何かはよく解らないんだけど。その分死亡フラグも強固になった気がするんだけども……うーん。


■バトル
 今回はやっぱり冒頭のキバvsサガでしょうかね。金銀が並ぶとそれだけで絵になるのに、背景でナパームだし!今までは押しっぱなしだったサガが、本気出したエンペラーには防戦に回ってるのがちょっと切ないというかどきどきするというか。


 ところで、先代キングとの対決場所は埋め立てられたかなんかしちゃったって事なんですね、あれ。そういえば湖に過去イクサのベルトかなんかが沈んでってたけど、もしかしてあれが伏線として効いてきたりする?父が使っていたイクサを使って、音也の意志と、渡と、太牙と三位一体の攻撃とかやっちゃたりする?うわぁ、楽しみすぎる!


■記号
 ト音記号の上にハーモニクスがついてる…?ト音記号は前に「『人間はみんな音楽を奏でてる』=『人には人の数だけ生き様がある』というのが基準値というか、根底だよ、と。そういうことなのかな〜。」とか書いたんですが。それにハーモニクスだとすると、人の生き様がハーモニーを…ってこと……とか。物凄く適当すぎる。
 つか、そもそもハーモニクスがついてるってのがそもそも違うよね。


■次回予告
 いよいよ最終回!兄弟共闘きたー!



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