路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#05 かみつき王の資格

 ちょっ!おもしれー!このテンションのまま最終回まで突っ走ってくれるよね!大丈夫だよね!鳴滝や士回りも少しずつ情報が提示されてきたし、キャラがうまい具合にかみ合うようになってきたから、安心して見てられますね。いや、話の内容はハードで、あんまり安心って訳にもいかないんだけど。


■キバの王子
 結局このキバの世界は、ワタルが自らの生き方を決めるという意味で、真世界のキバを踏襲していたんだね。真世界の渡も新世界のワタルも人間との共存を望んだんだけど、ファンガイアのありようを、真世界では人間側から、新世界ではファンガイア側から描いたのがやっぱり裏返してあるって感じ。ただまあ、どちらの世界から見てもどこか歪なのは、片方の視点からしか描いてないからこそ、なんでしょうな。しかしまあ、両者から描こうとすると、かなり救いの無いことになりそうだったりもするし。うーん。
 そこで結局共存エンドになるのはまあ番組的に当然なんだけども、メッセージ性としては「理解しあいたい、理解しあうようにしていこう」というのはやっぱり気持ち良いと思う。どっちの世界でも提示されてたけど、具体的には難しい問題を抱えてるし、うまく行くかどうかは解らない。でも「信じてる」というのがいいんじゃないかと。
 それにしても、ファンガイア側からみた「人間との共存の調和の取れた世界」ってのがなんか胡散臭かったのは、なんというか暗示的だったな〜。一見うまく行っているようで実はそうじゃないってのが端的に出てた感じで。そしてファンガイア側に裏があるんじゃないかってのは、深読みしすぎていたようです。


□友達だけどおいしそう
 うわー!やっちゃったー!友達だから食べたくない、ではなく、友達だからこそ食べたいってのは、ある意味でものすごい親愛の情だよね。好きな人を自らの身体に取り込んで共に生きたいっていうのは、究極的な愛の形なのかもしれない。ということは、やはり「人を喰ってはいけない」という掟は「人を愛してはいけない」の裏返しか。
 ワタルが夏海に触れられるのを拒絶していたのも、人を好きになっちゃいけない、好きになると自分の中のファンガイアの血が抑えられなくなってしまうから、ということだったんだね。


 ハーフのワタルでも自分を抑えられなくなるんだから、純ファンガイアの場合は、もっと衝動が大きいんでしょうね。それでも食べてしまうというのは、すなわち人を好きになってしまったからで、前回殺されてしまったお姉さんは、やっぱり可哀想だ。ワタルが目を逸らすのも解るな。
 もういっそ、ファンガイアと人間が愛し合いまくって子孫を増やしていくのが良いのかもしれない。ファンガイアの血が薄まれば、衝動も抑えやすくなるんだろうと思うし。まさに融和。ただそれはファンガイア族の行く末としては、人間に紛れていずれは消えてしまうことを意味するわけだし、それを両者が良しとするかってのはまた別の問題。うーん。やっぱりワタルの先行きも前途多難だ。


□「僕はまだ、あなたの友達ですか?」
 人を好きになってしまうと、その人を食べたくなってしまう。だから人に近付かないように生きてきたワタルが、もう一度人間と相対しようと決意する。そこだけでもう想いの重さにぐっとくるのに、それを受け止めるユウスケの大きさにもぐっとくる。ここで受け止めてもらえたことでワタルは人間を…というよりは、自分自身の決意を信じることができたんだと思う。
 クウガ編で士が言ってた通りに、ユウスケがワタルの笑顔を守ったってことでもあるし、さらには傷ついたユウスケを士が自分の言葉どおりに守ったわけで、「破壊者」と言われている士が、実は「再生者」であることが顕著に現れたな、と。なるほど、破壊からしか再生が生まれないってのはこういうことか。


 そしてユウスケのワタルを撫でる手つきがまた優しいんだ!士はこの世界では「ワタルに道を示す音也」ポジションで、ユウスケは「ワタルに愛を教える真夜」ポジションなんだね。
 実際の関係はともかく、メンタル的には父と母になるわけで、真世界の渡が両親に愛された子だったように、新世界のワタルも父母に愛されてるんだと思うよ!


□父の挫折・父との対決
 謎の男は、やっぱりワタルの父でしたな。父の挫折は、人間の女を愛したにも関わらずファンガイアとしての自分の本能に負けちゃったことか。それでもワタルが生まれている以上、しばらくは我慢できてたんだよね。それでもおそらくは最初に自分が理想とした(であろう)「一緒に生きる」という愛し方には到達できなかったと。ファンガイアからも追われたってのは人間を喰わないという掟を破っちゃったからかな?それならファンガイアは認知されてたんだろうにお母さんの方も人間から忌避されたっぽいのは、やっぱりまだ真の共存には至ってなかったってことだろうか。「存在はまあ許してやるけど、愛とかとんでもない」的な。
 お父さんは結局ファンガイアのサガを乗り越えられなかったんだけども、お母さんはそれすら受け入れてライフエナジーを吸われた(与えた)んだったらいいなぁ。許されたことが逆にお父さんを追い詰めたのかも知れないけど、最終的にはその方が救われると思う。
 士の演奏の中で逝ったお父さんを、お母さんがイメージの中で迎えに来てくれていたんだったら良い。


□父殺し
 ライダーってのは基本的に親殺しの物語を内包しているもので、今回も鳴滝が親、士が子供で、最終的には鳴滝を消滅させることが親殺し=物語の終結になるのかと思ってたんですが(鳴滝が親立ち位置な理由はまとめきれてないので割愛)、真坂直球で親殺しをやるとは思わなかったよ!真っ向から異なる信念が対立し、共存できなかった時に、ぶつかり合うしかなかったのは仕方ないのかもしれない。でも、ワタルがこれから背負う親殺しの業を考えると、辛いなぁ。
 ワタルは今後、単に王子として玉座近くに座るだけでなく、きちんと王としての責任を果たさなくちゃならないし、「人を愛したら相手を食べたくなるファンガイアの本能」と「人との(友愛を持った?)共存」というものすごい難事業に取り組まなくちゃいけない。それはやっぱり本能の去勢という方向も視野に入れなくちゃならないのかもしれなくて、連面と受け継がれてきた本能を殺す方向に向かうことと、父殺しの罪というのはなんだか重なります。そう言う風にならないように何か飛び道具的な(太牙の言ってたライフエナジーに代わるエネルギーとか、それ以外の)何かを開発なりなんなりして実現して行くのかもしれないけど。
 お供ンスターズが(あの三人は、このキバの世界ではファンガイアの一族という扱いなのか、それとも真世界と同じように別種族扱いなのか…)お父さんの「人間を喰らい尽くせ」という命令に諫言していたのを考えると、人間という種族に情愛を感じても、食べることに抵抗がある個体も居るようだし、なんとかなると良いんだけどな。


 結局は為し得なかった親子の絆だけども、士の写真がそれを実現していたのはちょっと涙腺に来た。二重露光の勝利かな。


■破壊者
 ディケイドが世界の破壊者ということにも、ちょろちょろと情報が出てきましたよ。


□鳴滝の望むこと
 相変わらず鳴滝がなにをどうしたいのか良く解らない。解らないんだけれども、とりあえず前にも書いたとおり、士(ディケイド)が憎くて、彼を追い詰めようとして入るようですね。自分で(キバーラの提言があったみたいだけど)士をキバの世界に呼んでおいて(正確には、ユウスケをエサとしてキバの世界に送り込んでおいて)、「お前が来たから調和の取れた世界が崩れたんだ」ってのは、目的云々を置いておいても士(ディケイド)を追い詰めたいという意図が透けて見える。
 ということで、鳴滝の中では「士(ディケイド)を追い詰める」>「世界の調和を守る」は確定かな。むしろ世界を破壊したくて、ついでにその破壊を持ってディケイドをもつぶそうとしてるんだろうか。士が「破壊者」と言われながら実は「再生者」だというのは、前の項でも書いたとおり。ディケイドを次々に色んな世界に誘い込んでるのは、新世界の調和を崩したいから。しかし再生はさせたくないから、色んなライダーを仕向けてるってことなのかも。しかしそこで本当につぶされちゃうと、次の世界を破壊する投げ石になるものが消えちゃうから、今回のカイザみたいに「適当なところで切り上げ」という、若干不自然な動きになるんだろうかね……。でも結果的に生き残った士は、新たな調和に向けてワタルの背中を押しちゃったから鳴滝の希望が「世界の破壊」だとしたら、それは達成できていない事になるんだけども。


□士
 士自身が望むと望まざるとに関わらず、士が各新世界に関わると、今までそこで保たれていた秩序が破壊されてしまうようですね。ガミオが復活したときに「目覚めるはずがなかった」と言っているのも、士が来る前のバランスで調和していたなら彼は本当に二度と目覚めない眠りについていたんだろうと思う(どんな理由で眠りについたのかとかは別問題)。
 ただ、その世界その世界で調和の破壊と同時に再生が起こっているのも事実で、それが士に与えられた役割なんだと思う。ただ、その再生を士自身が認識してるのかいないのかってのが肝かなぁ。「俺は破壊者だからな」と言ってた時の士が、ちょっとへこんでるっぽく見えたので、再生を認識していたとしても、それが本当に良いことだったのかどうかは自信がもてないってところでしょうか。
 この辺、ワタルが士やユウスケの存在によって生き方を決めたのとは対照的ですね。


「士」という名前なんだけども、ここまでみた限りでは「±」なんだと思います。破壊の「マイナス」、再生の「プラス」、この両方を体現している者だ、と。一方で絶対値の同じプラスとマイナスの数を足し算すれば、結果はゼロ。つまり士自身は常に「ゼロ」であり、だからこそ過去がなく、各世界に行っても色んな役割が割り振られるんだろうなと思います。夏海は夏海のままで各世界に存在してるしね。


□士とユウスケ
 士は鳴滝に「お前が来たから世界の調和が崩れたんだ」といわれて、クウガの世界のことを振り返っちゃったんじゃないかな。士が行かなければガミオが目覚めることはなかった→八代さんも死ぬことはなかった、ユウスケも好きな人を死なせずに済んだ。そういうことを全部自分のせいだと思っちゃったんじゃないかな〜と思います。表には余り出してないけど。やっぱり「俺は破壊者だからな」って言ってたあの時の表情とかが凄く気になりますよ。
 そうやってクウガの世界の調和の崩壊を自分のせいだと考えてしまったなら、ユウスケには罪悪感を感じるだろうし、若干距離を置きたいと思うのかも知れず。


■バトル
 vsカイザは、ちょっともうなんていうか、分身の術卑怯すぎ(笑) あれ、確かナイトも似たような技使ってたな。トリックベント?あれは次回が龍騎の世界であることを考えるとナイトのオマージュでもあり、ZXの忍者イメージに引っ掛けたんじゃないかって気もする。
 そしてカイザ戦は、キバーラの力でバトルフィールドが展開され、そこに放り込まれた感じがしますね。そのバトルフィールド内でディケイドに何かあっても新世界には影響しないとか、そう言うことかな?ついでに、いきなりどっかに吹っ飛ばされるにしても良いギミックだと思った。


 あと、父を殺すことになったワタルは確かに可哀想なんですが、お供ンスターズがもっと可哀想!ワタルと王の間で板ばさみになって、諫言したら王に取り込まれて、そのままワタルとディケイドの手でパリーンって。って!


□FINALFORM-RIDE
 ちょっ、そのFFRどうなの!なんていうかオモシロ造形!矢の形がヘルズゲートの開いたキバ右足と同じってのがまたこう…!なんだろう、やべー!おもしれー!キバでありながら変身アイテムであるキバットの造形も踏襲していて、これは今後のFFRも楽しみだ!
 そしてFFRになるのはやっぱり「ちょっとくすぐったい」なんですね。「え?なに?」と言いたげなキバと、「いーからあっち向け」的なディケイドが可愛いすぎる。つーか、キバが可愛い子ちゃん過ぎる。ただでさえ動きがちょっと若々しくて真世界のキバより可愛さアップだったのに!やっべー!


 そしてダブルライダーキックで血圧上がった。いいね、ダブルライダーキック!


 そんな訳で次は龍騎の世界。弁護士って言ってたってことは、北岡先生立ち位置なのかな?じゃあユウスケがゴロちゃん?えー?
 そしてシンジ、レンの後に出てきたのって、ディケイドオリジナルライダーだよね?あのデッキのデザイン見たことが無いよなぁ?さすがに7年前だと記憶も薄れがちですな。



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