路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#13 覚醒 魂のトルネード

 凄かった。とりあえず凄かった。
 今までに培った「ディケイドフォーマット」に、アギトから抽出したエッセンスを詰め込んで、士とユウスケでまとめてある感じ。アギト好きとしては楽しめましたが、ディケイドとして見ると、正直少々食い足りない。まあ、前回もそうでしたが。
 アギトってミステリー色が若干強かったり、いきなり主人公が三人だったり、エンディングが無かったり(笑)、いわゆる平成ライダー的なフォーマットを形作った作品ではあるけど、話自体は非常にオーソドックス。正直、テンプレ的と言っても良い。だからこそエッセンスを抽出して詰め込むと、見事にディケイドテンプレにきれいに収まっちゃって、ストーリーとしてはやや小粒にまとまっちゃった感も無きにしもあらずですよ。ただ、全30話というなら、ディケイドもそろそろ折り返し地点。ディケイド世界としての謎や決着もきちんと描くなら、そろそろ「ディケイドフォーマット」だけで回していってる場合じゃないと思うので、それを考えたら転換前のまとめ的には、丁度良かったという側面はあるかもね。


■アギトの世界
「居場所」をキーワードにして、ユウスケの足元を固め、ショウイチがライダーとして覚醒する、と。そして居場所を見出したショウイチ、居場所を再確認したユウスケ、居場所を作り上げようとした淘子という三者三様のありようは、真世界の三人に通じるところがある気がする。その場合、ショウイチ−涼、ユウスケ−氷川、淘子−翔一っぽいね。おおお、ギルスが新世界でようやく報われたよ〜!
 そういえば、ライダーが「自分の生き方を見つめなおし、それを定める」という意味では各世界のライダーは再誕生してるわけだけど、アギトというその世界のライダーがその場で覚醒したのは初めてじゃないかな?
 最近、鳴滝さん出てこないし、出てきても「お前は破壊者だ」とはネチネチやらないので、士が「破壊者」と言われているのを忘れているわけですが。もし今までの新世界ではアギトは誕生していなかった(最終進化前に自滅したかアンノウンに殺されたのかは解りませんが)のだとしたら、アギトを誕生させたことそのものが、あの世界のパワーバランスを崩したという意味で「破壊」ではあるのかな〜とか、ちょっと思いましたよ。しかしそれにしても、ディケイドを悪魔悪魔と言ってたのには、この後エクスキューズがちゃんとあるんだろうか。


□芦河ショウイチと八代淘子
 見失っていた自分の居場所を見つける前に、自分自身の生き方をまずは見つけたんですね。いや、生き方と居場所を同時に見つけた、というべきか。あれだよ『真魚ちゃんを守る為なら、きっとそこが俺のいるべき場所なんだ!』って奴ですよ!
 ただ、ちょっと違うのは、ヒロインたる八代さん。彼女はもちろん小沢さんポジではあるんだけど、前回もちょっと書いたとおり真魚ちゃんポジでもある。言ってみれば両方の良いとこ取りができるキャラ。真魚ちゃんも決して翔一に護られてだけいたわけじゃないけど、やっぱり戦う術という意味での力は持ってなかった。だけども八代さんは、自分が戦えなくても戦う手段を作り上げることはできる。それは「攻撃は最大の防御」という言葉の通り、戦う人間を護ることに繋がるんだよね。八代さんは、ショウイチを受け入れるという精神的な居場所になるだけでなく、何が何でもショウイチの居場所を作り上げてやる、という気概と行動力がカッコいい。
 八代さんを守るための居場所がある、そしてその居場所そのものも八代さんが作り上げたもの。互いが互いを必要としていて、それががっちり噛み合ったのが凄く嬉しかった。


 個人的にはG3がこそーっと映ったのが嬉しかったよ!確かにボディのシャープさ、アーマーっぽさはG3-Xの方が上で、それはそれでカッコ良いんだけども、G3のちょっとつるんとしたボディも好き。状況から見ると、G3-Xのパワーは、ショウイチにあわせて調整したものじゃなかったんだな。前回の「あの人ならこれくらい……」ってのは、願望というか夢見てた部分もあったのかね。八代さん可愛すぎる。


□アンノウン
 実に石ノ森的な「神」で、これもまた真世界のエッセンスをきれいに引き継いでる。人類進化計画を止めようというか、「いつまでも俺の手のひらの中にいろ」という、駄目父的なポジションなんだけども。キバの世界に引き続き、ここでも「父越え」をやったんですな。もっとも、ウシノウンは倒したけど、アンノウンという種族自体はまだまだいるはずで、この世界のグロンギはまだ滅びていない。アギト世界でのショウイチと八代さんの戦いはまだまだ続く、ってことになるんだけどさ。つーか、グロンギとアンノウン二つ抱えって相当しんどそうですけども。そしたらG5ユニットの出番だっぜ!


■士
 行動原理が予想通りっつーかむしろ妄想通りつーかで、書くことが無いんですが(笑)
 やっぱりユウスケが悲しまないように、ってんで、巡り巡ってショウイチを護ろうとした訳か。更にその先には、ユウスケが護ろうとする平和や人々や笑顔があるんだけども、今回はユウスケ自身がかなり個人的な動機で動いていただけに、より個人対個人が際立った感じ。


 士とユウスケの関係が、ようやく向き合ったのかな、と感じたのは、士が自分の行動の理由をユウスケに面と向かって伝えたことかな。
 今まで士とユウスケって、明らかにお互いに向かって伝えたいことなんだけど、第三者に向かって第三者のことのように話してたんですよね。この辺はやっぱり555の世界で「人に向き合おう」と考えたからなのが影響してる気がします。そしてそれが、海東との決定的な差なんだろうな、と。


■ユウスケ
 姐さんは姐さんだよ、とアギト世界の矢代さんを護ろうとしたユウスケだけども、それじゃ本来の姐さんたるK八代さんが望んだことは実現できないと気付いた次第。居場所を再確認して、それが氷川的だと書いたんだけども、氷川が「ただの……人間だ!」に対して、ユウスケ的には「だって、俺クウガだもん」というか。自分自身の立ち位置に戻った、そしてその基本の自分にしかできないことをやる、という意味で、氷川とユウスケが対になってた気がしたな。「人間だ!」というセリフはショウイチが使っていて、それは彼にとっても(姿形が変わったとしても、心は)「人間だ!」という意味で真理だし、生きていく道を表す言葉として凄く有効に効いてるんだけどね。ああ、そういえばアギトは結局、人間賛歌の世界だったもんな。


 だからこそ「ただいま」と戻ってきたユウスケを士も夏海も受け止めたわけだし、自分自身の足元を固めたからこそユウスケも「次の世界に行こうぜ」っていえるんだよね。
 しかしまあ、あのハイタッチの時の士の嬉しそうな顔といったらまあ!ユウスケがアギト世界の八代さんを笑顔にする生き方を選ぼうとするなら、士はそれはそれでユウスケの選んだ道だから後押しするんだよね。っていうか、してたんだよね。それはどういう生き方を選ぼうと(間違ってなければ?)その生き方を尊重するってことで、互いが互いの生き方を認めているという意味で、物凄く強い絆だと思う。
 士がユウスケとは違う世界の住人で(下手すると、パラレルワールドよりも更に高次の世界かも)、最終的には別れちゃうのが見え見えなんだけど、だからこそ、本来なら関わっていなかった人間同士が強く結ばれているのはイイと思う。


■海東
 海東にとっては、形のある何かがお宝だというのは、前から出ている通り。逆に言うと、海東は感情や思い、生き方という、形の無いものを理解することができないのかもしれない。一応、自分でも腹を立てたりナマコナマコ言って士に嫌がらせはしているわけだから、存在自体を否定しているわけじゃないんだろうけど、そこに価値を見出していないんだね。だからG4チップより大切なもの、というのが解らない訳だし。
 この情動不備っぽいところが、今後どうつながるだろうねぇ。思いや感情というものがわからないからこそ、海東が呼び出すライダー達には自らの意思が無いのかもしれないね。


 鳴滝は逆にディケイド憎しが行動原理で、凄く感情的だよね。同じ世界や過去を共有してそうな二人が、ここまで対照的だと、その過去にはなんかあったんじゃないかと勘ぐってみたくなるわけだけども、果たして。


■バトル
 バトルが楽しいと、特撮は魅力が5割増ですよ!
 なんとなく、アギトといえば乱戦、ってイメージがあったんで、そこをばっちり押さえられてツボった。ギルス対G3とかもね!
 そしてFFRですよ!スライダーモード!当時、突然の変形に目玉飛ぶかと思ったからね!(笑) そしてディケイドとG3-X、ショウイチの共同作業でのウシノウン撃破とかかっこよすぎだから!やっぱり真世界でのアギトとG3-Xの共闘になぞらえたんだろうな〜。さっきも書いたとおり、ユウスケと氷川は対だと思う。だからこの世界でユウスケがG3-Xに変身するのはある意味当然。ただ、そのマスクが割れたのは、この世界のG3-Xはユウスケではないから、なのかとか思った。

■次回
 このテンションで電王編ですよ!
 ……と言いたいところなんだけども、正直、電王にはアンチ寄りです。一応、電王世界は電王世界で、新たなリ・イマジネーションの世界としてフラットに見たいなとは思ってるんだけども、事前情報からするとどうもそうもいかないようで…。さて、どうなることやら。



////////
にほんブログ村 テレビブログ 特撮ヒーローへ