路地裏散歩

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【小説】仮面ライダーOOO

 ちっくりちっくり読んでる小説仮面ライダーシリーズですが、ようやくオーズ分を読みましたよー。
正直、オーズにはアギト、キバとかに比べると思い入れもわりと薄いし、本編もリアルタイムで一度観たきりなのでどういう風に感じるかなーと不安ではあったんですが、楽しかったですよー。
 例によってネタバレありなので注意。


 オーズの登場人物の過去・現在・未来を三部作で描くという、キバ、アギトとは違ってスピンオフと。それぞれの話で、きちんと「欲望」について取り扱ってるのがオーズらしい。特にアンクと映司に関しては、欲望の始まりと広がり、という意味で対になってて、それにまつわるキーパーソンがどちらも少女とその死だっていうのが構成としてにくい。
そしてアンクと映司の欲望のあり方が、表出の形は違うんだけどキレイに相似形を作っていて、なるほどアンクがドライバーの持ち主として映司を選んだのは必然だったんだなーと。

 世界を広げようとして世界を狭くして帰ってきてしまった映司が、どこまでも貪欲に手を伸ばそうとするアンクの欲望の形を受けて、今度こそ世界中を守ろうとするヒーローになっていたのがとても嬉しかったですよね。そして映司が世界中に手を伸ばすことで、今度はアンクも世界を手に入れられるのかもしれない。それは映司と一緒にいられたからで、互いが互いでなければそれは成しえなかった。二人は本当に二人で一人の仮面ライダーだったんだなぁ……。
アンクの章と映司の章はキレイに対になってるので、続けて読むのがオススメかな。

 でだ。問題は現在に当たるバースの章だ。
 いやぁ……この発想は無かったわ。この章だけ完全に毛色が違うスピンオフ。まさかなぁ。バースドライバーに意思を持たせて、その視点で伊達と後藤を描くとか思わないだろ!しかもなんだろう、あのテンションの高さ。おもしろい。おもしろすぎる!おもしろすぎて、地下鉄の中ではにやにやしすぎて読めなかった!

 自らの意思と努力で進化していく後藤と、自らの意思では進化も成長もできず、ただ次代へつないでいくしかないメカの”道具”道の対比がおもしろいね。しかしその根ざす根っこは、自分にできることをするだけで、それしかない、というところで共通している。そしてそれが彼らの欲望でもある、という。
 そういう、地に足をつけた欲望の昇華ってともすれば地味になりがちなので、それをベルト視点というコミカルさでテンション高く仕上げたのが凄い。読んでて楽しい。ほんっともう楽しすぎる。その分、ぶっ飛びすぎてて、頭から続けて読んでるとちょっとノリのギャップが激しくて疲れるのが難点かなぁ(笑)

 全体的に欲望を通低音に上手くまとまってた三篇でよかったです。それぞれの話は短めなので読みやすいのも好印象。ただし、二章は出先で読むな。出先では読むな。大事なことなので二回言いました。出先で読むな。