路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#19 終わる旅

 あああもう!良かった!ほんと良かった!二転三転して「仲間との協力」を描き、鬼として生きるということの光と闇に目を向けつつ、ピントはアスムとヒビキの師弟にあっていて、「継ぐのは、魂(生き様と言い換えてもいいかもしれない)」!
 もう、いろんなことが良すぎて、それ以上には言葉にならない感じですよ!1回目見たときなんか、正に号泣って感じだったもんね!2回目は少し落ち着いたけど、暗闇の中で無言で頷きあうヒビキとアスムのシーンは、やはり涙なしには見られません。真世界のヒビキは結局最後まで完全には明日夢を手放すことができなかった訳ですが、新世界のヒビキは自らの命の最後にアスムの背中を押した訳で、自分の中で最後に引っかかっていた引っ掛かりを見事に解消してくれた感じ。
 もちろん、真世界と新世界は違う世界だというのは分かっているんだけども、士からユウスケへの「こいつの笑顔は、俺が守る!」といい、真世界を知っているが故のエクスキューズっていうのは、ものすごいカタルシスがあるんだと思った。もちろん、元の世界を知らなくてもおもしろい話だったと思うよ!すっげー良かったよ!


響鬼の世界
 ある意味、前編の感想ですべてを言い尽くしてしまったような気がするんですが。「仲間との協力」を「三流派の対立」→「融和」として、師弟関係を「師から弟子へ受け継ぐもの」という路線できっちりと三師弟分見せてくれた訳ですね。
 響鬼は「ライダーが師弟関係を結ぶ」という、ある意味では「同属殺しの物語」から最も遠い物語な訳ですが、そこを親越え(親殺し)の物語と絡めて、更に「協力し合う同志」という形にまで昇華しえたのは響鬼という世界観だったからこそだと思う。


□音撃道の三流派
 響鬼流の巻物は「車の几を又手にするなり」で「撃」でしたね。今回は海東が三つ揃えたことによって「なぞなぞ」が解かれた訳だけども、それを考えると、今まで斬鬼流、響鬼流、威吹鬼流は三つの巻物を揃えたことがない→連綿と対立の歴史が続いていたってことですよね。元は一つの音撃道で、しかも互いの流派の存在を知っているにも関わらずそれだけの長い期間、和解を考えることなく対立していた裏には何があったのか、ってのを考え出すとおもしろすぎてたまりませんね!なんかあれみたい、バベルの塔のあれ。「互いに言葉を通じることを得ざらしめん」ってやつ。


■師弟
 太鼓師弟を軸に、弦師弟、笛師弟もしっかり魂を受け継ぎ、力を思いを次世代へ繋げた。時間の都合上仕方ないのはあれど、ザンキイブキの弟子に師匠の座を譲ろうと考えた辺りの部分はもう少し突っ込んで欲しかったといえばいえるけどね。そこ以外はものすごく満足。
 アキラの変身もそうだし、まさか笛師弟まで夢のセッションするとは思わなかったし!ああ、そうすると真世界も込みで師弟セッションやってないのは響鬼のとこだけかー。そこは確かにちょっと残念。


□太鼓師弟
 書きたいことの大半は前回書いちゃったんですが(笑)

 鬼の生き方というのがどれだけ凄惨なものか、というのを、身を持って見せてくれたのが新世界のヒビキなんですね。ヒビキだって正しい心を亡くした訳じゃないんだと思う。自分の身体を異形と化すほど鍛え続けたのは、やはり「人を守りたい」という意思の表れだろうし。ただ、どっかで道を踏み違えた。「人を守るため」という意思が「魔化魍を倒すため」という目的にすりかわった時に鬼の力が暴れだしたんだろうね。しかしこの両者は、表出する力としては「魔化魍を倒し続ける」という行為に集約されるはずで、恐らくヒビキ自身も牛鬼と化すまではその道の踏み違えに気づいていなかったんじゃないだろうか、と思う。
 それはとりもなおさず、魔と鬼の境目が非常に曖昧なものだということを表してる。それは魔に引っ張られるのも簡単だけども、鬼の側に踏みとどまるのも想い一つ、ということ。その想いである「アスムの優しさ」を確信できたから、ヒビキは音角をアスムに伝える気になれたんだろうね。これがアスムと向き合い、アスムの優しさという強さを受け止めることができた、ヒビキのある意味での成長だといいな。だからこそ、イメージの中で向かい合って音角を受け渡す師弟の姿に泣かされるわけだけどもね!あああもうもう!


 そして思いっきり妄想ですが、ヒビキが元の世界のもっさりした感じじゃなく、洒落た麻っぽいジャケットを着てたのは「麻+鬼」=「魔」ってことだったのかな〜とかぼんやり思ってみた。


 そしてアスム側から見れば、突然「師匠が魔化魍だ」「師匠から自らの止めをさすのを依頼される」という事実を突きつけられた訳で、そこで響鬼を受け継ぐという決意ができるのは、並大抵の精神力じゃ無理だと思う。もっとも、一度は拒否してるんだけどね。その優しさゆえに響鬼はアスムが鬼足るにふさわしいと確信したわけだけども、実は「鬼と変わってしまう師を止めるという優しさ(厳しさ)」という意味だったんじゃないかな。厳しさこそが優しさという、いかにも父性的な意味合いが隠れてるような気がしますよ。
 さっきも書いたとおり、ヒビキは「人を守りたい(魔化魍を倒したい)」という面ではとても純粋だったんだと思う。バランスが崩れてしまったがゆえに魔に飲み込まれてしまったけども、その根っこの想い…すなわち魂をアスムは受け取って、これから響鬼としてあの世界を守っていくんだろうね。そして響鬼の魂とアスムの優しさが合わさっていれば、アスムは魔に飲み込まれることはないだろうと思う。


■弦師弟、笛師弟
 アキラ、鬼に変じただけでなく、独立まで……!!天鬼ですか。素直に真っ直ぐなアキラらしい鬼名だね。
 イブキザンキも、ある意味でヒビキと同じく道を踏み外しかけていたんだと思う。二人とも音撃道を一つに束ねようとは思っていたけれども、それは自分の勢力に他者を取り込むことによって為すべきことだと思っていたわけだよね。前の方でも書いたとおり、連綿と三流派が対立していたとすると、この考えはある意味で間違ってないんですよ。ザンキイブキの更に上の師匠、更にその上の師匠からずっとそういうものだと教えられてきたんだろうから。
 でもそれは「父(師匠)」を越えられていないんだよね。だからこそ、師匠に背いてでも自分達の信じる「三流派の力をあわせる」と決断した弟子たちは、それだけで一種の父越えを成し遂げたわけだ。そしてそれを認めたからこそ、自分はもう越えられた存在だ、として、師匠たちは弟子に鬼弦と鬼笛を渡すと。
 ザンキさんの「お前はもう師匠だろうが」というセリフが、今度こそ直接の弟子であるトドロキに伝えられてるのが、ぞくぞくしたよ!


■海東
 この話は、もしかしたら「仮面ライダーディケイド」じゃなく、「仮面ライダーディエンド」だったのかもしれない。
 海東が「君の前から通りすがりの仮面ライダーだ」っていうのは、前に「それは僕の仕事だ」と言ってたのと同意なんでしょうね。最近はナマコナマコ言ってませんが(笑)、士の過去を知ってたことに変わりはないはず。元々海東は9つの(もしかしたらもっとたくさんの)世界を回ってて、士とはその旅の途中で出会ったんだったりして。


 今回のラストで夏海の世界のスクリーンが出てきたけど、あの中には1話で炎に巻き込まれかけた親子が描かれてた。すると、他の世界を旅している間は、元の世界の時間の影響は受けないとか、そういうことがあるんじゃないのかな。もしそうなら、たとえば海東が今より若い士の前で「通りすがりの仮面ライダーだ」と名乗ったことがあり、それを士が覚えていたってことになったりもするかも、とか妄想中。


 また、今回の話って、海東の成長物語でもあるんだよね。アギトの世界でも出ていた通り、今までの海東は「感情や思い、生き方という、形の無いものを理解することができない」様子だったんですよね。その意味では、ヒビキの世界のお宝というのは、正に形のないもので、巻物を見て自分の食指が動かなければ、そのまま放っておけば良かったはず。その世界のライダーが何人死のうが、海東にはしったこっちゃないだろうし。
 それが今回に限っては、巻物が音撃道を極めようとする人間以外にはまったくむだなものと解ったあとも、アスムのためになるように動いてる。これはやっぱり海東の成長ではないかな〜と。まあ、まだ「三流派が力を合わせたときに、何がしかの宝が出現する」と勘違いしていたって可能性もないではないけどね。それならもっと悔しがるような素振りを見せても良い筈だし、それはないか。なんていうか、ものすごいツンデレで、ほんと可愛いよね海東。


■バトル
 三種の音撃の合奏が音楽になったよ!!これは、一度は見たかったものを見せてくれた!すっげー良かった!しかも、徐々に音が重なったところへ持ってきて、師匠二人とディエンドの参戦でまたテンションだだ上がりですよ!
 音撃の見せ方も、カットインが入ったり、ソロの演出を凝ったりして色々変化をつけてきてて楽しい。しかし、ディケイドの「薄紅色」は解るとして、ディエンドの「海鼠」……ナマコて……!!(笑)ディエンドがナマコってことですか!(笑)なんなのこの子ー!!もう、もう大爆笑ですよ!!いや、一応、ディエンドのメインカラーのことかと思って色の和名とか調べてみたんだけど、見つからなくてね。どうなんだろうね。


 そして一方で、やっぱり音撃ってのはどうしても攻撃の最中の動きが地味で、やや冗長になるきらいはあるな、と思った。好きだけどね。


■鳴滝、王蛇、そして士
 王蛇、超出オチ!えーそんなー!鳴滝さん、わざわざバケガニ復活させてけしかけてるだけなの?せっかく呼んだんだから王蛇本人に襲わせなくていいの!?ナニがやりたいんだ、この人は。いや、ディケイドを倒したいんでしょうけど、ホントに確実性の低そうなことばっかりしてるね。
 でも、出オチでもカッコよかったよ、王蛇!つーか、あれだけしかない出番でこれだけ強烈な印象を残せるのも、王蛇だからこそ、って気がする。他のライダーじゃ、恐らくこうはいかない。


 今回はアスムをメインにした太鼓師弟話で、そのアスムに絡んだのは海東だったもんで、ほんとにまた士の存在が薄い薄い。次回から士自身、もしくは海東、そして夏海の話になっていく筈なので、今後に超期待中。旅が終わったあと「十度目に立ち上がる」時に、世界と士の関わり方、そして世界そのもののあり方は果たしてどうなってるのか。楽しみですな。


■次回
 音也ー!!しかも武田くんの音也ー!闇のライダーは、ダークキバ、ダークカブト、オーガ、龍牙?ちょ、なにがどうなんの!

#16 黒子力

 いきなり流ノ介に何があったんでしょうか。今まではどっちかっていうと精神的には(感激しやすかったり、殿がらみでは盲目的になったりしたとはいえ)大人の部類だった流ノ介が、いきなり精神的に12〜3才くらい若返ったみたいで、ものすごいびっくりした。え〜?いや、千明もことはもだけど。その中でも一番びっくりしたよ!


 とはいえ、一番びっくりしたのは、黒子が街の人たちにふつーに溶け込んでる辺りだけどね。「志波さんとこの黒子さんはいつも凄いわね〜」って。マジですか。ブラウンさんがあっさり志波家にたどり着いたことからしてもそうそう隠れてるわけじゃないと思ってたけど、それにしたって隠れてなさすぎ!
 ほんと、外道衆に水切れのハンデがあって良かったと思うよ!あれだけ開けっぴろげなんじゃ、ドウコクさまが制限なく襲って来てたら、とっくの昔に志葉家断絶だよ。


 ストーリーの内容的には古きよき戦隊というか、誤解を恐れずいえばレスキューファイアー的というか。要するにストレートに子供に向けたメッセージものになってましたね。それにしても、あそこまでばっちり着替えさせてもらっておいて、今まで黒子の尽力を気にも留めてなかったのかよ!とかはありますけど(笑)
 そうそう、梶木折神の回でぶーたれていた、黒子が戦わない理由へのエクスキューズはばっちり説明されましたね。やっぱモヂカラがないからか。ということは、モヂカラは血筋に関係するのかな。そうか、だから家を途絶えさせるわけにはいかないんだね。


 今回、バトル絡みがおもしろかったですよ!急速加熱→急速冷却で脆くするとか、それを分担としてやるところとか。あれはモヂカラと攻撃内容が上手く絡んでていいねぇ。モヂカラってのは、何らかの制約はあるであろうにしろ、文字さえ書ければ無限の可能性があるんで、逆にこういう属性縛りで協力戦とかってのは新鮮だし、協力感も出ていいね!
 しかし、「俺たちは一人じゃない、皆で戦ってるんだ!」と言うなら、大筒モードは全員で構えて(というか、構える殿を支えるんでもいい)も良かったんじゃないだろうか。いや、メインは「適材適所」の方だったのか。それなら殿が大筒を撃つのは「適材適所」ってことなんだろうけど、それ以前に流ノ介+ブラウンとか、丈瑠+千明とかで大筒撃ってたりしたしな。どうもこう取ってつけた感がぬぐいきれないなぁ。


 ロボ戦でも、火→水→打撃と連携してマリゴモリを打ち破るところなんかおもしろかったですよね〜。全て兜系の換装なんで、ややもっさりっちゃもっさりな感じですが久しぶりの単体換装は楽しかった!うーん、連続してみると、やっぱり纏まってるのは兜折神かなー。


 外道衆側は、十臓と薄皮太夫が妙にしっぽりと。まさかリオメレ再びやるんじゃないだろうな〜。いや、やるのは構わんのだけども、そっちが本筋みたくなっちゃうのはちょっとな〜っていうか。ただでさえ、恋愛ものって求心力強いからさ。
 それにしても、ここ2回くらいのドウコクさまは実に真っ当で素敵だ!かっこいい!


 そして次回予告。新戦士がきたー!金とは聞いてたけど、また凄い色バランスというか…。おかしいな、マジシャインはこんなに違和感を感じなかったんだけどな(笑)
 それにしても、寿司職人…寿司職人かぁ…。どうなるんだろう…。

#18 サボる響鬼

 おもしろかった〜!米村さんはやっぱりマジメにやればできる子だと思うよ!ちょっとキャラ付けが濃かったり、おもしろい子がいるとそっちに引きずられがちになるけど!地獄兄弟とかぼったまとか名護さんとか!(笑)
 響鬼世界の一つの肝である「鍛えてます」をまるっと逆転させたうえ、「鬼である」とは(というか、ライダーの力とは、というところも含めて)どういうことか、どう生きるべきなのか、という真世界でがっつりやったことをきちんとメッセージとして再構成してくれてる。且つ、響鬼という物語は、究極的にはヒビキと明日夢の物語だったというところも決して外してない。良い!これは良い!


響鬼の世界
□音撃道の三流派
 真世界では「猛士」という一つの組織だったものが、それぞれの音撃武器をしょって三つの流派に分かれてる、と。「鍛えていた」ヒビキが「サボってる」ことも含めて、「協調」には「対立」を持ってきて、世界を再構築したんですな。秘伝の巻物とかもあるし、過去から連綿と続いている感もちゃんと出てておもしろいな〜。


 で、その秘伝の巻物ですよ。威吹鬼流が「首は之なり」で「道」になる。斬鬼流は「立つ日なり」で「音」になる、と。音撃道を極めんとする集団であることを考えると、響鬼流に伝わってるのは「撃」の字になる一文なんでしょうね。どうやって分解するのかな?「車」「几(つくえ)」「又」「手」か?「車」「殳(ほこ)」「手」でもいけるけど。部首としてはともかく、文章にするのは難しそうなんだけども。
 なんにせよ、三つの巻物を合わせて「音撃道」となり、つまり、三つの流派が手を取り合わないとならない、ということなんだと思います。「仲間との協力」を「流派の対立」と逆転させたものを、さらにひっくり返すとみた。
 ということは、響鬼の「サボり」も、形を変えた「鍛え」ではあるわけだな。


□師弟
 そしてもう一つの軸は「師弟」。これは真世界でもがっちりやったところでもあるし、当然といえば当然か。やはりメインは太鼓師弟かね。師弟の問題を太鼓師弟だけにおっかぶせるわけもないだろうし、弦師弟、笛師弟の動向にも期待中。


■太鼓師弟
 そんな訳で太鼓師弟ですよ!アスムちっちゃ!可愛い!そしてもう鬼姿にはなれるわけですね。ただし、顔だけは鬼になっていない。この辺、ちょっと絡みそうな気がします。そして鬼姿は京介と一緒ですよ!超嬉しい!この世界には「キョウスケ」は出てこないけど、二人合わせてヒビキの弟子、ってことですね!ありがとう、ありがとう!


 ヒビキがサボってる理由は、どうやら鬼の力に飲み込まれないため、なんでしょうね。この辺が実にうまく「鬼(ライダー)の力は、敵と同根である」という、根っこというか基本を押さえてる感じ。鬼の力が暴走すれば、牛鬼(というか魔化魍)になってしまう。故に鬼にならない=サボっていると。
 そのくせ、他人(クウガ)のピンチには、ちゃんと変身して戦う辺りが、ものすごく響鬼さんですよ!カットイン演出として、クウガ登場時には「空我」の文字が出るのがまたいい。これは音への当て字でもあり、アルティメットとしての力に飲み込まれて「我をなくす」という意味での当て字でもあったりして二重三重に意味づけされていて、当時から上手いと思ってたんですが、今回は響鬼にも掛かってるわけだよね。だからこそ、ここはvsクウガなのはにやりとする。ディケイドたる士も自分自身は空っぽなんだけども、士は空虚の中に、各ライダーから得たものを積み重ねていくライダーだしね。


 アスムと一緒に襲われたときは、変身しようとしてためらってた。この辺が敵の力の見極めが出来てる感がまんまんで、ものすごく実力者に見えるんですが、それはそれとして。
 一つにはヒビキの感情として、師匠…というか「鬼」の成れの果てをアスムに見せたくなかったのかな…と思ったりもします。「鬼の力に飲み込まれた自分を晒したくない」という部分もあったと思う。個人的にはそういうリスクも含めて弟子に突きつけ、「それでも鬼になりたいのか」と突きつけるのが筋かな、とも思うんだけどもね。
 そしてもう一つ、アスムがすでに鬼の姿になる術を身につけていることも関係していると思う。アスムの鬼姿は、顔だけは人間のままだった。つまり、まだ「意思は飲み込まれていない」ことの象徴かと。今のうちならば、アスム自身の中にも牛鬼になってしまうような因子が萌芽していることを気付かせずに、人の世界に帰してやることができる。ましてや、アスムは「何もできなかった自分が、ヒビキに鬼になる才能を見出された」訳で、責任も感じているだろうし。
 ただ、どちらにしろ、鬼としての生き様の末路、アスム自身の中にもあるかもしれない暴走の因子に目を向けさせないままで原因から遠ざけようとするのは、親心かもしれないけど、ある意味では真にアスムと向き合ってないとも言える。その意味では、弟子を取ることから逃げていた真世界のヒビキとも、どこか相通じるものがありますね。ということはつまり、アスムの師匠越えと同時に、ヒビキの人間的な成長も後半でやっちゃうんじゃないかと期待したいところだけども。


□同属殺し・親殺し
 師弟を軸にした物語、という時点でアスムはこの後響鬼を越えなければならないことを道付けられてると思うんだけども。
 現状、アスムは「響鬼の弟子である」>「鬼になること」というスタンスですよね。でもこれではいつまでも響鬼を越えることはできない。つまりアスムは「鬼になる」>「響鬼の弟子である」に遷移しなければならないわけで、何を持って鬼になることを優先するかって言うと……響鬼を清めること、になるのかな…と。
「鬼に成る」というのはどういうことか、ということを突き詰めたとき、真世界を踏襲するならそこにあるのは「常に己に克つ生き方」「人を守る生き方」ということになるんだと思うけど、もしその為に師を手にかけないとならないんだとするなら、それは確かにつらいなぁ。キバ世界のワタルが通った道でもあるわけだけども。


 ライダーというのは、そもそもが「同属殺し」「親殺し」の物語を内包しているわけですよ。その意味で、魔化魍に変じるかもしれない鬼が魔化魍を殺すことで「同属殺し」にものすごく直接的に切り込んできてる。残るは「親殺し」な訳ですが、真世界からずっと「父越え」を「師匠越え」として描いてきた響鬼世界だからこそ、「親殺し」を直接的に「師匠殺し(清め)」として描くんじゃないかと思うんですよね。予告の「僕が響鬼になる」ってのもそういうことじゃないのかな〜…とか。


■弦師弟、笛師弟
 ええと、ちょっと太鼓師弟だけで語りすぎたので駆け足で。


 太鼓師弟のことを考えると、弦弟子、笛弟子も師を越えなければならないはず。弟子は流派を名乗るだけあってたくさんいるけど、ここはやっぱり、トドとアキラが代表ってことになるでしょうね〜。弟子たちの中でも筆頭っぽかったし。
 師匠たちが各流派を背負って戦っていたこと、巻物は三つで一つ、ってのを考えると、師の代ではいがみ合っていた流派が、弟子の代で融和することで師を越えるのかとか思ったりします。だからこそ、トドロキ→アキラの片思いなんだろうし。しかし、トドアキが成立した場合、その子供は弦管ハイブリッド?いやいや。


 アスムが鬼になるであろうことを考えると、他の流派の弟子も鬼になるんだと思われますね。そうするとトドロキが轟鬼になって、アキラもまた鬼になるってことかなー。
 ……まじで!?アキラってば、念願かなって鬼になるってことか!?どうなるんだろう…。そして鬼の名前はどうするんだろう。暁鬼(あかつき)とかかなー。(妄想ロードを突っ走る!)


□弦師弟
 ザンキさん!ザンキさん楽しい!ちょっと、トウキさん入ってませんか!(笑)おおおー、また闘う斬鬼の姿を見られるとかもう!もう〜!!でも雷電斬震の音違う、違う!!(笑) ああそうか、この音がトドロキに受け継がれて、トドロキの音になっちゃうんですねわかります。
 斬鬼流、暑苦しすぎる。つーか、免許皆伝したら轟鬼じゃなくて斬鬼になるんだろうか。それともやっぱり「斬鬼さんは斬鬼さんのままでいてください」なのか。


□笛師弟
「IBUKI Lesson Studio」!だめだ、気になりすぎる!なんだその、ヨガとかエアロビっぽい名前!女の子大好きなんだなぁ、イブキ!(笑) こっちはこっちで、映画のイブキさん入ってる感じですね。
 アキラは真世界で鬼の道を断念したのとは別のアプローチというか、念願かなってというか。アスムを通して「鬼になる覚悟」というのを身につけてくれるだろうし、憎しみの力に拠らず鬼となることを選んだ彼女の行く末に超期待。


■海東、鳴滝
 海東が師匠っぽい!なんか凄くまともなこと言ってるよ!単に自分の信条を述べてるだけだけど!(笑) なので、あの海東とアスムの会話は、会話が成立しているようで実は全然成立していないんだな。アスムとヒビキの会話も、ヒビキがはぐらかしていることによって、意味合い的にはすれ違ったままだし、そう言うところもディケイドの響鬼世界っぽい。


 夏海と鳴滝で言ってることが真逆。逆もまた真なり、であるならば、破壊であり再生であるってことかな。真逆のことを口にする二人は、存在自体が真逆でかつ、対である何者か、だったりして。ものすごく概念的にもの言ってますが。


■バトル
 盛りだくさんすぎる…!!ディケイド、クウガ、カブト、斬鬼威吹鬼ダブル音撃、ヒビキ単独音撃、ディエンド、龍騎。すげー!ダブル音撃の処理は、やっぱり試行錯誤重ねてる感じだねー。上手くセッションになればカッコいいのに。その辺は、後編に期待、だったりするのかな。
 それにしても、カブトはやっぱり強すぎる!CUシステムは、他の世界のライダーと絡むには、ちょっと卑怯なくらい強すぎ!
 この響鬼は伊藤ちゃんなのか…?いや、なんか腰周りが違う気がするなぁ。ウエスト辺りが妙に細くてするっとしてるような気が…するんだけど…。太もも辺りが目立ってたから、むしろ渡邊さんなんじゃないかと思うんだけど。


■士・ユウスケ
 メインなのに最後に来てしまう悲しさよ。正直、今回は士が全然目立ってなかったからさ。士というか、ディケイドは目立ってんだけども。多分、生き方や鍛えることということに絡んで、次回はもっと出張って欲しいね。やっぱり主役だし。
 それにしても、士はなんつーか乗せられやすいなー。大師匠ってのは、ヒビキさんのその場でのでっち上げだと思うよ(笑) なんで乗せられてんの(笑) それとも、乗せられた振りで鬼さんたちの中に入り込もうとしたとかですかね。えー。どうかなー。
 つーか、いい加減にカブトの世界から頭もどってこーい。(笑)


 そしてユウスケ、別に変身してもいーんじゃなーい!今回は士が居ないところだから変身したのかな?
 そういえば、今までの世界でユウスケが変身したのは、キバ、電王、響鬼。電王世界は置いといて、結局は士の居ないところで誰かがピンチに陥っていたら変身してるような気がしてきた。それはつまり、この旅が士のものであるってのを解っていたから、単純に手を貸せないという考えの元での行動だったんじゃないかな、と思ってみる。
 確かに、ディケイド+クウガで闘えば、たいていの敵は敵じゃないだろうけど、単純に「敵を殲滅する旅」じゃないからね。その世界の人と関わって、士自身が何かを得なければならない旅。だからこそ自分自身の物語に関わっていたキバの世界、アギトの世界(これはG3-Xとして)でしか変身しなかったんじゃないかな。ユウスケがどの程度まで士の事情をわかってたかにも拠ると思うけど。


■次回予告
 王蛇!王蛇!!

#15 偽物本物大捕物

 戦隊恒例、ニセモノ話ですよー。今年は千明が担当なんですね。なんだかんだで、千明もメイン多いよね〜。まあ、基本的に男の子向けだからしょうがないんだけど、それにしても全体通すとやっぱりちょっとバランス偏ってる気がするよ。だって10話でも千明メインやったばっかりですよ!そろそろ単独メインじゃなくて、コンビ話に持ってってもいいんじゃないかな〜とかもちょっと思う。千明はなんだかんだで平均的にそれぞれと絡んでるバランスキャラなんで、誰とコンビの話になっても話が転がりそうだしねー。
 大人の目線で見ちゃうと、そろそろ追加戦士登場だから、も少し横のつながり強化しとかないと新キャラに負けちゃうぞ!とか余計な心配が(笑)


 千明だけに特化して見ると、今回は結構いいバランスの話だったんじゃないかな〜とは思う。また千明が修行にブー垂れてるのがちょっと違和感はあったけども。千明メインの回は成長話だっていう印象が強いんで、毎度毎度成長してもどうも次に続いて行ってない感がしちゃうんだよな。それでも三話からに比べたら、最終的に陰で修行してるところを含めて、成長してるんですけどね。
 むしろチームとして見た時に、「千明がそんなことするはずない」ってのを信じきってるメンバーが居ないのがなんだかなぁって感じ。丈瑠が一応そのポジションなんだろうけど、あの描写じゃせいぜい信用と不信が半々って程度に見えちゃって残念。
 他の誰が「千明なんて、所詮ああいう奴だったんだ」と言ってても、丈瑠が信じきる様子を見せれば、九話での千明から丈瑠への「信用していいかどうか分からない」という返答になったりもしただろうし、距離感や絆感ももっと近づいたんじゃないかな〜とか思ってみたりします。もしこうなってたら、大筒モードを二人で撃つのも不自然じゃないどころか、むしろ燃えだったんだけどな!今回、描写がどっちとも取れそうな、あいまいな感じだったのがやっぱちょっと残念な感じ。


 もっとも、丈瑠が「あいつがそんなことをするはずがない」と信じきってる描写をしちゃうと、まず流ノ介が「殿がそういうなら、きっとそうなんでしょう」になって、茉子とことはも追随しちゃうだろうから、今回みたいな話にできなかったんじゃないかって邪推もできるんですけど。好意的に解釈するなら、流ノ介以下三人には、自分たちの意思で千明を信じて欲しかったから、丈瑠は自分の意見を明言するのを避けたのかな、とも取れるけども。そうだとしたら、あまり効いてないよね。
 それならそれで、流ノ介が信じるポジションに入ればコンビ話にもなって(また流ノ介ばかりが目立つってのは置いておいて)、緑青的にも嬉しい展開だったかな〜(笑) 前半の絡みをことはとにして、ことはが信じきるポジションでもいいけど。つーか、キャラ的にはそっちの方が自然か。あ、でもそうすると、丈瑠が偽千明を見破れていないってことになって、殿に泥がつくからダメですか?


 バトルは今回結構おもしろかったよ!っていうか、竹内さんがものすっごく楽しげにくるっくる動いてて、ナリスマシとの一騎打ちの辺りとか、スゲーかっこよかった!前々回辺りから出てきた、個人のフルの名乗りも嬉しかったしね!個人的には、変身後のコピーもグリーンでやればよかったのに、とは思ったかも。ああ、バトルでレッドをコピーするってことは、やっぱり今回は赤緑の話で良かったのかな。
 ロボ戦になるとボケたおす流ノ介を、誰か何とかしてください(笑) 流ノ介って茉子と一緒にシンケンジャー知性担当じゃないのか、違うのか!(笑)


 今回のドウコクさまは、割と良いドウコクさま。やっぱり、少し酒断ちした方がいいよ!そして思わせぶりな十臓と薄皮太夫の関係も気になりますな。薄皮太夫は、前に庇われたときのことが気になってるだけかもしれないけど、少なくとも十臓が薄皮太夫を庇う理由はまだだったはずだし。
 そして、あのススワタリもどきは、単なる癒し系マスコットの扱いなんでしょうか。そのうちあれらが増殖、合体して新しい幹部が誕生しちゃったりするんでしょうか。単なる画面のにぎやかしにしては、妙に構われてる気がするから、ちょっと引っかかる。

#6 タツヤとユウマがケンカして超火災だ

 思いっきりギャグ方向に振ってきましたね、突然。いや、例によってしんみり泣きツボ的なところはあるんだけど、状況が状況なのでいかにも「泣け」的な意図がちょっと鼻についちゃった感じ。あと、今回は泣きのエピソードがイマイチうまく絡んでない感じで、若干浮いてるんですよね。それでちょっと無理が出た感じ?


 訓練の失敗から険悪になるタツヤとユウマ。タツヤが自分勝手なことをペラペラ言ってるのが悪いんですが、結局のところ相互理解の努力が足りないってのもあったかもね。スピード自体に制限があったわけじゃないみたいだし、どっちに合わせるんでも良さそうだったし。そして爆発するのが食べ物に絡んで、って辺りが、絶妙に相互理解不全感を強めていると思うのだけども、どうだろう。目玉焼きに何を掛けるかなんて、一番ありがちで、それがゆえに根の深い問題なのに。それにしても、タツヤ→ケチャップ、ユウマ→しょうゆ、リツカ→塩というラインナップが、非常にらしくてめちゃめちゃ納得した。
 今回、リツカの子供相手の優しさもちゃんと見られたのが嬉しかったね。ちゃんと笑顔で対応すべきところはできるってことだから。それに、タツヤたちと一緒にご飯を食べるようになってるし、少しずつ距離が縮まってる感じだな〜。


 メインの子供の話は、前述の通りちょっとだけ浮いてる感じが。確かに超火災が起こる=巻き込まれる人がでるのは必然なんだけど、今までが結構密接にレスキューファイアーのメンバーのストーリーに絡んできた感じだから、本当に巻き込まれ担当でしかなくなっちゃってたというか。
 それにしても、全体のギャグテイストと、ユウマの熱血台詞でごまかされてる感じだけど、火災現場に着装もせずに突っ込んでいくタツヤはちょっとどうかと思うよ!どんなときも冷静沈着ってのを求める訳じゃないけど、無謀と勇気を履き違えたような描写はちょっとな。やっぱりプロ中のプロではあるわけだからさ。


 ドーザードラゴンとファイアードラゴンの連携は…これもまた度肝を抜かれたというか!持ち上げんの!?投げんの!?っていう。うん、いっそここまでハッタリの効いたロボ戦は、これはこれで楽しいぞ!
 レスキューシリーズだと思うと若干気になる、レスキュー魂の万能化もだいぶ慣れてきました。個人的に「気合がパワーになる」ってのが好きだからかも(笑) そうか、今回のバトルが暑苦しかったのは、55Vのマトイ兄さんが二人いた感じだからか!(笑)
 二人揃っての爆鎮完了バンクまで作ってもらって、ああもう、いいよ、二人で勝手に熱血してるといいよ!


 そして次回はレスキューフォースのマシンを輸送…だと?やっぱり繋がった世界なんだな〜…。なんだか、前番組のアイテムなんかがでてくると、こう、なんというかしみじみする。

#14 異国侍

 流ノ介メインのギャグ話ってことでいいのかな?個人的にはもっとはっちゃけてくれても良かったんだけど、シンケンの世界自体がシリアス系なんで弾けるにも限界があるのかな?いやもう、どうせだったら巨匠呼んでさ!(笑)
 それにしても、流ノ介は優遇されてるなー。流ノ介はキャラがはっきりしてるし、ちょこちょこと出てきてても目立つから、余計前面に出てきてる感じがするね。


 シンケンは特に外部の人間と余り係わり合いを持たない戦隊な感じがするんで、こういう話はもっとやっても良いなと思った。だんだん関係性はこなれてきているとはいえ、基本的には主君と家臣ということで、丈瑠と四人の間には大きな隔たりというか距離というかがある。そこを少しずつ埋めてはいるんだけど、やっぱりどうも立ち居地が違っちゃってるんですよね。そこに異分子がやってきて引っ掻き回して、ってのは、各々の色んな面を引き出せておもしろいと思うんだけどな。そういう意味では、結局まともに絡んだのが流ノ介(あと、若干千明?)位ってのは、ちょっともったいなかったかも。


 流ノ介は結局、一生懸命な子なんだよなぁ。自分が歌舞伎の練習と侍の修行を両立してきてるもんだから、「一生懸命やれば、努力は報われる」ってのが一番身に染みてるんじゃないかな。だからこそ、流ノ介からブラウンへの「諦めるな」はわかる気がする。
 とはいえ、ブラウンはそもそも「見かけただけの侍を見つけ出す」という意味では、諦めない心は持ってたような気もするけどね(笑) むしろハチョウチンにやられたときの五人の方が諦め良すぎっていうか。
 ブラウン自身のせいでシンケンジャー五人がピンチに陥ってるので、意地の悪い言い方をすれば「お前が言うな」ってとこですが。それを言いはじめたら危険に巻き込む可能性が高いとわかりきってるのに、断固として拒絶せず中途半端に希望を持たせるようなことをしたシンケン側も大概だしなぁ。つーか、少なくとも丈瑠は怒っても良かったと思うんだがなー。千明が友達に会うことも禁止したくらいなんだからさー。


 大筒モードがとうとう殿の手を離れたよ!ちょっとまて〜!これができるなら、もっと最初の方からやっとけよ〜!千明話でもWヒロイン話でも、その回の主役に撃たせてやってくれよ〜!最初の殿以外の人間のみでの大筒モードがゲスト絡みって…、って……っ!なんだろう、もやもやっと悔しい(笑)


 今回はギャグ回だったんだし、いっそもうブラウンもテンクウシンケンオーに乗っちゃえば良かったのに、とかちょっと思った。せっかく名乗りも一緒に上げたんだしさ(笑)つうか、あの名乗り、なんだかんだ言って殿が乗っかってて笑える。
 ロボ戦は正直、若干おざなりな感が否めず…。ロボ戦を充実させるとドラマ部分に避ける時間が減ったりするし、今回そもそもそんなに換装とかで戦い方が余り変わらないロボだからバリエーションもつけづらいだろうしね。うーん、難しい。


 そして、ドウコク様を誰か何とかしてあげてください。仲間からもものすごく軽くあしらわれてるよ…。あーあーあー。

#17 おばあちゃん味の道

 濃かった。何はともあれ濃かった。まあ、ある意味カブトの肝を全部やっちゃったといえばやっちゃったしな。
 何もかも解決してめでたしめでたし、って世界ではないんだけどなんだか爽やかなのは、それぞれが自分が納得した上での選択だからなのかなぁ。特にソウジがな!一方で「なぜそうなったのか」という理由の部分はかなりぶっ飛ばし気味。かつ、人類とワームという関係性を見れば現状維持どころか後退してるかもしれない。そういう意味では、好き嫌いが分かれそうな話ではあるかな。


■カブトの世界
 ディケイドの中の一話として見ると、物凄く爽やかに大団円で終わったように見えますが、カブトの世界としては、実は一二を争うくらい絶望的な状況で終わってないかな?今回、ワームだったソウは死んじゃってるし、ZECTにも多くのワームが既に入り込んでいた。当然実働部隊だけに限らず、事務方や下手すると上層部もそうでしょうね。クロックダウンシステムを止めるためとはいえ、拠点もそうとう破壊しつくされてる感じだし、まずは平常業務に戻るだけでも大変そう。ザビーゼクターが新たな資格者を選ぶまでは、ガタック一人で戦わないとならない状況ですよ。もしかすると、CUの世界からカブトが助けてくれるかもしれないけど。それを考えると、この二話では活躍は描かれなかったけど、今後の主役という意味ではアラタはやっぱりダブルライダーと言ってもいいのかも。


 時に、このカブトの世界は、テレビよりもワームの侵食が進んでいる世界のように感じますね。ZECTにも相当数のワームが入り込んでいたのもさることながら、カブトを無条件で敵視してるっぽいのに既に作為を感じますよ。カブトは確かにCUという人間には手を出せない世界にいるわけだけども、だからと言ってそれで人間を襲っているわけではないはず。そのくせやたらと「脅威だ、敵だ」と民意を煽ってる訳だからね。もうその時点でワームの情報操作が入ってるように見える。
 大体、クロックダウンシステムだって、カブトを無力化すると同時に、ZECTのライダーのCUも無効化する訳で、そういう人間側に不利になるようなシステムが開発・実用化されてる時点で、やっぱり人間はもう既に劣勢になってるんじゃないかって気がする。つーことは、下手をするとパラロス並みに人類とワームの多寡が逆転する寸前だったりするのかもしれないね。もしそうなら、あの報道は「人間として社会に溶け込んでいるワーム」に対する警告になるわけで、それほどまでにワームが社会に食い込んでいるなら、残されたガタックの戦いは相当苦しいものになるはずですよね。うーん。


 もっとも、ワームが人間に擬態する以上は被害者も周囲から見ると人間そのものでしかないわけで、カブトはワームだけを倒していたとしても、人間を殺害するものとして認識されているかもしれない。それなら警告自体は真っ当なはずだけども。でも、カブトを通常の人間が認識することは普通できないはずで、それならカブトという存在を明らかにし、それを敵と位置づけるのはやはりワームの意志が反映されているような気がする。
 ワームと人間がどういう関係を結んでいこうとするのかってとこも気になるところではあるけどね。でもまあ、この世界にはネイティブは居ないようだし、完全に敵対するものとしての存在になるってことなのかな?


□弟切ソウ
 うわぁ。絶対士の性格を現してるだけだと思ってた「自分と同じ顔のワームを攻撃」が思いっきり伏線だったよ!そうだよな、ワームの特性を考えたら、入れ替わりトリックっていうのはむしろ自明の理だったか。弟切草花言葉「秘密」ってのはこういうところにも掛かってたんですね。ネイティブかも、とは予想してたんだけど、もっとこう直球だったね。やっぱりさすがにネイティブ絡みまで入れる余裕はなかったか。
 ソウ=フィロキセラワームは、何を思ってソウジに擬態しようとしたんだろうね。ソウがザビーに擬態していたことを考えても、ワームでもライダーシステムを使えるのはわかってたのか。つーことは、カブトの力を手に入れるためだったのか?擬態前の人間がカブトだからといって、擬態したワームもカブトに変身できるとは限らないし、もしかしたら適格者を排除してゼクターを捕獲してしまうのが目的だったのかもね。そうすれば脅威となるライダーが一人減るわけだから。あとはガタックだけをどうにかすればよくなるだろうし、アラタについては部下なんだから、任務中の不幸な事故に見せかけて排除ってのもできたかもしれないし。
 しかし、前にディエンドに呼び出されてたドレイク、サソードはこの世界には居ないのかね?まあ、ZECTとワームという部分に絞って抽出すると、どうしたって出てこられないだろうけども。…後半、ソウが関係なかった!


□アラタ
 前編で説明係に徹してて後編を期待してたんですが、残念ながら後編でもイマイチ見せ場なし…。うーん。残念。しかしながら、前の方の項で書いたとおり、今後のカブトの世界の平和を護る責務が一身に掛かってくるのだとしたら、描写はなくても影の主役には違いないだろうと思います。CUの世界に戻ってしまったカブトも協力してくれるかもしれないしな。


■天道家
 この二話は、カブトの世界の物語というよりも、天道家の物語だったんだなぁ。ぶっちゃけ、やや小さくまとまったかなという感もなきにしもあらずですが、でもカブトってそういう物語ではあるような気がする。


□おばあちゃん
 マユがワームなことは、あっさり知ってましたね。でも、それで納得がいっちゃうキャラクターなのが、さすが「天道家のおばあちゃん」って感じ。すげー度量大きい!
 そうすると、もしかするとソウジが帰ってこられない理由も知ってたりするかもね。だからこそ頑なにおでんの味を護り続けてるんだろうし。


□マユ
 名前の示すとおりワームだったということで、やはりひよりポジだったね。でもソウジに愛されてる記憶を持つという意味では樹花ポジションでもあるわけで、そうして愛された記憶を持つからこそ「家族」の元にも返ってこられたんだな。あああ、良かった!良かったよ!!
 マユがワームでありながら自覚が無かった件については、気にするなってことでいいんでしょうか。もしくは本編参照ってことかな。この辺はちょっと本編を見てない人には不親切なつくりだったかもね。しかし、メインに持って来たいところをすっきりさせるためには、ワームと人間が混在する『家族』というところは事実として見せれば用は足りるんで、はしょられたのは致し方ないところかも。
 前述の通り、このカブトの世界ではワームの侵食がかなり進んでそうなんですよね。それを考えると、ワーム同士の(人間に擬態したままでの)婚姻、出産とかもそれなりにあったりするのかもしれないですね。場合によっては、人間とワームが恋に落ちたりということもあるかもしれない。そんなことを考えると、キバの世界の今後なんかも想起されたりします。


 マユはお兄ちゃんが大好きだったんですね。世界の誰に拒絶されても、ソウジに妹だと認めてもらえたらそれで生きていけるし、生きて行きたいと思える。それはやっぱり、愛されていたからこそ素直にそう思えたんじゃないかな。ひよりはその辺ちょっと難しかったんだけども。
 そして、せっかく逢えたにも関わらず、また離れざるを得ない兄、そして一人だけ違う流れの時間の中で生きていかなければならないソウジの分まで自分がちゃんと生きないと、と思ったんじゃないかな。


□おでんの味は家族の道
 なんというか、サブタイトルが実に直球にテーマを表してましたな。帰属するものとして、家族は変わっちゃいけない、変えちゃいけない、と。ひいては、そういう風に思える家族っていいよね、というメッセージが優しい。
 味がしみこむ=家族として馴染んでいくという意味でマユを、いつまでも帰りを待ち続けるよという意味でソウジに対してのメッセージなんだね。マユが受け入れてもらえたように、ソウジも帰ることができればいいけど…まあ無理だよね。


■士
 うーむ、なんていうか、ソウジとマユのドラマにかなりの勢いで食われてた感が(笑) まあ仕方ないかね。
 今までのライダーとの関わりで士が得られたものというのは、努力さえすれば今からでも士が手に入れることができるものではあるんだよね。ただ、家族となると話は違う。それは士が過去を取り戻さなければ絶対に手に入らない。よしんば過去を取り戻したとしたって、家族がいるかどうかってのは別の問題。妹が居たみたいだ、ってのが実は真実だったらおもしろいんだけどね。
 士の様子からは、家族が居なくて寂しいとか悲しいとかいう感情は伝わってこなかったけど、そういう場所を欲してるんだろうかね…。
 そして登場が異様にカッコいい…!惚れた、惚れたよ士!


■バトル
 イクサー!イクサが召還されたー!喋ってるけど、あれ?ディエンド召還ってことは、自らの自由意志は無いはずだよね…?サイガも喋ってたし、召還システムに何らかの変更があったのか、カードの力がなんか関わってるのか。(笑)
 いやまあ、そういうことは置いておいて喋るイクサに大笑いしたけどね!しかしあれ、本人の声じゃないらしいですね。ぅえっれーそっくりでびっくりした!それにしても、サイガかっけー!飛べるライダーは軽く反則だと思います!(スカイにケンカ売ってる!)


 それにしても、前回に引き続いてバトルがかっけーな!間断置かない攻撃でカブトを追い詰めるサイガ&イクサ、攻撃を見切ってイリュージョンで対抗するディケイド!見せ方も全然違うけど、CU使わずCUに対抗するライダー戦が、もう!もう!!かっこよすぎる!


■その他の人々(笑)
 今回、ホントに他のドラマ部分が濃すぎて、全然言及できないんですが(笑)
 ユウスケがまた軽く空気状態に…。しかしまあ9つの世界を巡り終わった後に、士とのツートップでいろいろドラマを引っ張ってくれそうなので、それまでは仕方ないのかな。でも変身しても前々回みたいなのはちょっと勘弁だしな。


 鳴滝は相変わらず口だけは達者で(笑) もういい加減、大言壮語はやめたほうがいいと思うよ!つーか、キバーラ、二倍分身どころか、三倍分身してませんか?(笑)


そして怪盗海東……。やっべ、こいつ可愛いよ!胡椒に騙されてるよ!薀蓄もべつに間違っちゃいないけど!…しまった、どんどん憎めなくなってきた、こいつ…。


響鬼の世界
 きたー!響鬼の世界だー!つか、サブタイトル、頑張りすぎ、頑張りすぎ!わーい、もっとやってください!

#16 警告:カブト暴走中

 さて、カブトの世界ですね。しかし、カブトの世界を表現するものって他にも色々あるんじゃないかと思うんだけども、なぜに東京タワー。いや、東京タワーはまだしも、プラス指。いやまあ、確かにカブトってある意味名前の通り天道が総てを司った世界だったしね。それにしてもゼクターすらなしなのか(笑)


■カブトの世界
 基本的には真世界の世界観と変わらないみたいですね。渋谷隕石は落ちていないのかな?一応、劇中でカブトが現れた、とされているのが渋谷だったけど、あれが意味を持つことになるのか、それともただのオマージュでしかないのか。


□違う時間の中のカブト
 カブトの世界と言いつつ、カブト自身は、世界に関わることができないんだよね。いやもちろん、マユを護るという意志の具現によって世界と関わることはできるんだけども、それしかできない、ともいえる。人智の届かないCUの世界から通常の世界に手を伸ばすことは、高次元の人間が低次元の人間に働きかけるのと同様、一方的且つ絶対的。カブト(ソウジ?)が言葉通り「総てを司っている」と言えなくはないかもしれない。そういう意味では確かにカブトの世界はソウジの世界なんだろうけど、絶対的な支配は絶対的な拒絶と同根というのが、おもしろくも物悲しい。しかし、何でCUの世界に取り残されちゃった(?)んだろうね。


 そういう、世界と関わることのできないライダーと、士は関わっていかざるを得ない。CUの世界という意味ではないけど、士も9つの世界とは違う次元から来ている存在っぽいというのは何度も書いてる気がします。同じく世界に拒絶される者同士、高次からものを見ている(?)者同士の関わりは、士に「なすべきこと、その意志」とかそういうものを喚起させてくれそうな気がするんだけども。どうだろ。


■天道家
□おばあちゃん!
今回は、結局これに尽きるんじゃないかな!おばあちゃんだよ!真世界では話にしか出てこなかったおばあちゃんだよ!いやまさか、こういう形でおばあちゃんを出すとは!いい味出してるな、おばあちゃん!


□マユ
 カブト世界で妹で、といえば、やっぱりキーパーソンのひよりってことになるかな。マユという名前は、単純に繭かなと。そうすると、ワーム蛹体に対して更に一枚皮をかぶってるということになるわけだから、自覚すらなくてもおかしくない状態ですかね。その辺は真世界と変えてないところなのかな。
 そうするとカブトの世界は、世界観とかキャラ配置とかはほとんど変えずに、ソウジの世界との関わり方だけをガラッと変えてきてる感じだろうかね。それともダークカブトというか、ダーク天道と天道を統合したようなことになるのかな?


□お兄ちゃんはカブトに殺された
 やっぱり気になるのはこのセリフ。あの様子からすると、マユはカブトが「お兄ちゃん」を殺した場面を目撃してるっぽい。カブトがCUの世界に居たのだったとしたら、状況証拠での類推ならまだしも「目撃」は無理だろうと思う。それなら、カブトがCUの世界に入り込んだ(逃げ込んだ?)のは、ひよりの「お兄ちゃんを殺(傷)」した事件がきっかけってことになりそうなんだけども。
 ついでに、「お兄ちゃん」がやさぐるまさん……もとい、ソウらしいってのも気になるところ。この辺は真世界のキャラ配置を知ってるからだけど、ソウは「(地獄兄弟の)兄貴」ではあっても「(ひよりと樹花の)お兄ちゃんじゃないんですよね(笑) 世界観が大きく変わっていない以上、ソウが兄ってのは考えづらいんだけども。


 で、今回サブタイトルが「カブト暴走中」と。その辺を考え合わせると、マユの「お兄ちゃん」=「カブト」であることはマユは知っていた。そしてマユはカブトが(人類を害する)ワームと戦っていたことも知っていた。だが、ソウが襲われていたときに「カブトに変身したお兄ちゃん」が人間を襲っているところを目撃してしまった。マユは「お兄ちゃんがカブトの力に飲み込まれた」と思った=『お兄ちゃんはカブトに殺された』なのかな〜と考えたりしますが。さて。


 仮にそうだとして、じゃあ何でカブトがソウを襲ったんだって話になるんですが。ソウはもしかして田所さんポジションも入ってるのかな。つまり、ソウがネイティブ。ネイティブとワームの差をカブトが解っていなかったら襲うこともあるかもしれない。多分、映画版の世界観までは混ぜてこないだろうし。


□おでん
 これは、解りやすく家族の象徴なんだろうなーと。具も3つ、家族も3人。余計なものを加えると味が変わる。味が変わることへの忌避感は、家族が崩れることへの忌避感でしょうかね。マユ=繭ならがんもどきがマユかな。モドキ=ニセモノ=ワームという流れで。それでも同じ味であり続けなければならない=家族であり続けなければならない、ってことなのかな〜とか思ったりするんですが、どうでしょうね。


ZECT
 こちらも基本的に真世界と変わらない様相のZECT。やっぱり警察と繋がってたりするんでしょうかね。つーか、あの白いアーマーは見習い用とかじゃなかったっけ?あれ?もしかして、ネイティブな人たちが黒で、人間が白とか色分けされてないかなぁ。


□弟切ソウ
 まあザビーに変身するし、アーマースーツのラインがゴールド二本だったりで、間違いなく矢車さんポジなんですが、矢車草からまた、なんつー花に(笑)
 矢車草の花言葉は「繊細、優雅」だそうで、確かにある意味純真だったといえなくもない矢車さんにはぴったりの花だったと思うんですが。対して弟切草花言葉は「迷信、秘密、盲信、信心、恨み、敵意」とか。少なくともカブトへの恨みを持ってそうな辺りでは既にぴったりって感じですね。
 マユの項で書いた、「弟切ソウ=ネイティブ」説があるなら、「秘密」ってのも結構当てはまる気がしますが。


 そういや、もう一個可能性があるか。「マユのお兄ちゃんは、弟切ソウと同じ顔をしていた」って可能性。マユが見たのは本当のお兄ちゃんが殺される場面で、その姿に擬態していたワームが、今は弟切ソウとしてZECTにいるっていう。
 いやそれは、ソウが主役になっちゃうから、ないかな。


□アラタ
 残念ながら、現状では真世界でのダブルトップの貫禄はなし。やっぱ、初期状態っぽくなっちゃってるというか。出番自体も説明役に徹してる感じだったし。ただ、そう思って油断してると次回でバケたりするので油断がならない、ディケイドという番組(笑)。
 しかし、アラタは士と士ワームが並んだときに、二人を見分ける方法は無いと言ってた。じゃあ、冒頭で追い詰めてた人間に擬態していたワームはどうやって見分けたんだろうね。ZECTスコープ?(笑)


■士
 この世界での士が「為すべきことを為す、その意思」を喚起されるなら、士が人間としてまた大事なものを手に入れることになるんじゃないかと思う。残る世界は響鬼の世界で、響鬼の象徴といえば「鍛える=努力する」なので、人間と向かい合い、生きていく場所を定めて自分自身を想定し、為すべきことを見つけて、努力するって流れがきれいに収まるんじゃないかって気がするんだけどもね。
 ただ今回は、ZECTのアーマーを着て登場した割には、ZECTとして関わったのはワームを目撃して世界の情報を手に入れただけ。後はおでん屋手伝い(邪魔)だけだったしね。いろんな世界に飛ばされた時、その世界の中で物語りに関わっていくための立ち位置が用意されていた訳だけども、今回はちょっとやってることと巻き込まれた形に誤差というかズレがあるような。でもこれは、次回を見てみないと解らないところでもあるかな〜。


 それにしても、士ワームがおもしろかった!ワームの行動原理としては、擬態した人間に成り代わって人間社会に紛れ込もうとするってことだと思ったんだけど、本人と対面してちゃ意味無いよ!っていう(笑)
 ただ、士に擬態してしまったのがあのワームの不運かもね、とは思う。なんせ、士はカブトの世界に居場所の無い人だから、士の姿で社会に溶け込もうと思ったら、光写真館一択なんだよね。
 そして、自分と同じ顔に容赦なく攻撃するディケイド、マジ外道。外道衆もびっくりだ!


■鳴滝とか海東とか
 なんつーか、このおじさんはもう……。おまい今度こそ今度こそつーて何回言ったよ(笑) 単に演出上の問題かとは思うけども、鏡の中=異世界からの言葉っぽく聞こえるのが意味深。
 海東は……おや、一応この世界=テレビシリーズの世界観のものにも興味もつんだね。あ、でも別にレアとは言ってなかったか。


■バトル
 バトルは盛り上がりすぎで凄かった。よかった〜!


 クウガを使うならこうじゃないと!いや、前回のはちゃんとユウスケが変身したクウガなんだけどさ。
 ペガサスフォームをこう使うのはびっくりしたよ!VSアクセルはスピードvsスピードってんで「これやんなきゃ嘘だろ」っていう組み合わせを持ってきた感じですが、ペガサスの超感覚でハイスピードの敵を捕らえるってのは、意外かつ効果的な使い方だったね!ボウガンの素体になる銃は無かった気がするけど!それを凌駕する見せ方してもらったので問題なし!(笑)
 うん、こういうバトルこそカードバトルの醍醐味って気がする。やべー、おもしろすぎる!


 それにしても、虫には虫って(笑) 士はこういう物言いが容赦なくて好きだ(笑) そして電王ライダーへの物言いもな!うん、少なくともあのカードは役に立たない(笑) ああ、言われてみれば電王ライダーって必殺技はあったけど、そこに至るまでの戦い方は余りバリエーション無かったかもね。確かにカードにはしづらいかも。


 マスクドフォームからライダーフォームへのキャストオフもきっちり見せてもらったし、CUの表現もおもしろかった。そして士はちゃんと物語の中へ入り込んでいるんだけど(為すべきことの誤差はともかく)、ディケイドはそんなに目立ってなかった感じがしたのは、CUについていけてなかったからかな。


 正直、見てるときには妙にあっさりに感じたけど、かなり濃い密度の話をさらっとやってたんですね、カブト編前編。世界観の処理とかが、リ・イマジネーションと言うには、若干無難過ぎるようにも感じたけど、押さえるべきところはきっちり押さえてきてくれてる感じかな。古怒田さんは結構好きなライターさんの一人なんで、今後の話も楽しみです!

#13 重泣声

 ダブルヒロイン話ですね〜。これでようやく茉子ちゃんにもスポットが当たってくれたよ!今までも一応ちょこちょこと絡んでくる話はあったんですが、どうも横から(主に流ノ介に)出番というかインパクトをかっさらわれていて、もうどうにも不憫だったんですよね。あー、良かった。


「夢はお嫁さん☆」と「料理ベタ」がこういう因果関係ってのは膝を打った。なるほどね、千明の家がちょっと緩めだったりしたように、茉子の家は侍修行に関してはとてつもなく厳しかったのか。だからこそ、モヂカラのセンスが磨かれたりしたのかな。そうやって厳しい修行に明け暮れていたからこそ、戦いの現場には行ってなかったとしても命の危機ってのを身近に感じていたんだろうし、夢が切実なものになっていったのかな。個人的にはどうせだったら「必ず外道衆を倒して、自分の夢をかなえる!」って方向にも行ってくれたら、もっと心証上がったかも。
 丈瑠もどっちかと言うと努力型っぽいし、茉子と丈瑠は結構似たもの同士で色々通じそうなんだけど、なかなか絡まないな〜。残念。閑話休題


 茉子とことはの関係もいい感じにこなれてきたですね。ことはは元々お姉さんがいて、年上の女性に甘えやすいってのはあるだろうし、茉子は子供好き。ここは結構いいコンビになりそうな気がする。ことはが「甘やかされてるだけじゃなく、たまには自分が」ってんで母性本能的なものに目覚め始めたのも良かった。しかしそうすると、シンケンジャーは母性担当が3人もいるよ!流ノ介込みで!(笑)
 それにしてもモヂカラの合わせ技ってのはおもしろかったな〜。書き順が違うと発動しないとか、部首をあわせて別の漢字になるとか、漢字の成り立ちとかに絡めたモヂカラの特徴ってのはおもしろいし、表意文字を使ってるが故のギミックで良いですね。漢字の勉強にもなるし(笑) だから「死」とか「殺」とかいう字を書けば……って、それは使う側にもリバウンドがあるとか、モヂカラが足りないとか、そういう制限があるんだろうな。


 今回の話、どうせだったらもっと頭の方にあれば良かったのにね。それこそ4話位にこれがあったら、千明の家との対比もできたかもしれないし(それはそれで、千明の家はどうして緩かったのか、ってとこへのエクスキューズが欲しくなるだろうけど)、モヂカラのセンスがあるのは茉子、ってとこを見せられただろうし、お嫁さんへの夢も唐突感がなかったんじゃないかな〜。
 その人がそういう性格なり行動原理を持つに至った裏にはこんな理由があったのです、っていうのはよくある話なんだけど、茉子に限って言えば、今までがどうにも見せたい(であろう)キャラの基盤が薄い感じだったからなぁ。ほんとに「実はこうだったんですよ!」という解説に見えないことも…。いやいやいや。
 ともかく、ようやく茉子が地に足がついた感じがするんで、これからこれから。キャラがはっきりしてきた中でまわすのは、小林さん上手いしね。


 ロボ戦は今回のダイテンクウの使い方はちょっとおもしろかった(笑) 何が何でもロボ戦でギャグやるなってことじゃなくて、要するに使いどころなんだろうなぁ。
 でも結局おいしいところを持っていくのは流ノ介なのか〜。せっかくのダブルヒロイン話なんだし、ロボ戦も女の子主導で、だったらおもしろかったんだけどな〜。「目には目よ!」とかっつって、茉子が主導すんの。でもまあ、それをやるには主従ってのがちょっと壁か。それ考えると、「殿」「家臣」と一番強調してるのは流ノ介なのに、一番遠慮がないのも流ノ介なんだな。


 そしてもうすっかり影の薄いドウコク様…。二日酔いって……。飲んだくれのサラリーマンがネクタイ巻いてるようにしか見えな……。その状態で「裏切り者が出るかも」的なこと言われたら、うっかり賛同したくなるくらいの情けなさっぷりですよ!あーもう!!最初がカッコよかっただけに、凋落っぷりが泣けるよ、ドウコク様……。あああ。