路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

#20 ネガ世界の闇ライダー

 さて、9つの世界を巡り終わって、こっからがいよいよ「ディケイド」としての本番ですね。そもそも、
・9つの世界が融合を始めている
・士は9つの世界を旅しなければならない
・その間、融合は渡「たち」が食い止めている
 ことになってるわけですが、とりあえず旅には出たものの、その後何をどうすればいいのかよく分かっていない。正に、栄次郎さんが言ったとおり終わりは始まりでしかなかったわけですね。
 それにしても、夏海の世界と見せかけてネガ世界か…。なんかますます、前に海東の名前のときにチラッと言ってた「セフィロトの樹」っぽくなってきたような(笑)いやいや、それは引き寄せすぎだ。


 そうそう、今回は御大でしたね!って、井上節薄いよ、なにやってんの!(笑) しかし、士とユウスケの関係はやっぱ上手いな。思ったとおりだ。


■似て非なる世界
 9つの世界を巡って「帰ってきた」先は、最初に夏海や士が居た世界と、良く似ているけれどネガであるという世界。ネガの内容はとりあえず置いておくとしても、少なくともカタストロフが起こっていたはずの世界が、一見何事もなかったかのように見えるのが、やっぱり違和感を感じます。ただ、その違和感は多分メタ視点だからこその違和感であって、あの世界の中にいる限りでは「9つの世界を旅し終わって、9つの世界が融合することを回避できたから」にしか見えないところが、怖いところでもありますね。
 違和感はいろんな形で演出されるんですけど、その中でも鳴滝の怪しさは異常!気持ち悪い!鳴滝が何を思ってああやってわざわざ言いに来たかわかんないですが、鳴滝にも士達がネガ世界に来たってのは予想外の出来事だったっぽい感じがしますね。今までも9つの世界のどこに行くかはほとんど制御できてなかったっぽいし。ユウスケをキバの世界につれてきて、結果的に士をおびき寄せた時くらいかな?


 そして音也ですよ、音也!名前が漢字表記だったってことは、少なくともディケイドのキバの世界の住人ではないっぽい感じがしますね。かといって、真世界の音也かって言われるとそれも違うような。1話ででてきた渡もドコのキングが乗り移ってるんだって感じだったけど、この音也もちょうどそんな感じがします。で、この音也は、少なくとも1話ででてきた渡のネガなんだろうな〜と。服装も1話の渡が白っぽい格好だったのに対して、黒っぽかったしね。
 そうすると、渡は9つの世界が融合するのを誰かと(他の8人のライダーと?)防ごうとしていたことから考えて、ネガ音也は9つの世界を融合させようとしている側ってことになったりするんですかね。つーことは、9つの世界を融合させてやると考えた何者かの意思が存在することになるわけで、それがまた箱庭感を助長するんですけども。この辺、真世界と新世界とネガ世界の関係性とかをわかりやすく教えてもらえませんかね、マジで!


□夏海の過去とTGクラブ
 TGクラブ=退学クラブって!痛いよ、青いよ!と思った瞬間、士とユウスケ二人掛かりで突っ込まれて爆笑しましたが。(笑) うん、ホントに青くて痛いね!誰でもそういう時期があるけど!そしてそれがどんどん黒歴史化するんだけど!(笑)


 TGクラブっていうのは、退学でもするかと言いつつ実際にはしない(できない、実際する気もない)、退屈だけど退屈を解消する手立てがわからない人間たちの集まりだったんですよね。そこに現状についていけない教師の現実逃避が加わって、結局は地に足が着いていない子供の傷の舐め合い集団なんですよね。だから士は「青い」とばっさりやっちゃうわけですが。「なにか盗ってくる」ってのも「何かに踏み出してみたい」「反社会的なことをして自分を受け入れない世界に復讐したい(大げさだけどw)」な表れって感じですかね。実はもっと子供っぽくて「こんな悪いことできちゃうんだぜ、俺スゲースゲー」っていうアピールって気もしますけど。
 でも結局、その辺にあったものとか(まあ不法投棄物を拾ってきた程度に見えるけど、厳密に言えば盗みか)しか持ってこられないわけですよ。これはある種の行動力のなさの表れで、退学したいといいつつ、実際には退学しないで馴れ合ってるのと通じますよね。あとは、反社会的なことをしたいといいつつ、あからさまな盗みとかはできなくて、結局は社会規範の中に組み込まれてるってことの象徴に見えますね。


 そういう人間(反社会を夢見つつ、ある意味誰よりも社会規範に縛られた「まじめ」な人間)が、ネガ世界ではライダー(本来的にはマイノリティ)であるという逆転がおもしろい。ネガ世界は、後でも書きますが「ライダーと人間が逆転している世界」に見える。それを考えると「ライダーになるのがマジョリティな世界でのライダーになっている」=「社会規範に縛られている」という風にも見えて、ネガ世界でも結局は規範に縛られている存在とも言えるかもしれない。
 写真の中で襲われていたメンバーは、ネガ世界では存在がライダーに食われたというか、そういう感じじゃないかと思います。上手く言えないんだけど、あの写真は夏海が持ってたもので、夏海の真世界のもの。当然、映っている写真の被写体もそう。それがネガ世界に入ったことによって、写真の中の真世界の存在がネガ世界に塗り替えられたっていうか。


 そういうTGクラブの中において、夏海と千夏はちょっと異質と言えるかもしれない。同じ夏って字が入るし、この二人もネガポジの関係な気がするんだがな。何か盗ってくるという話のときも、夏海は本当に合法的にもらえるティッシュだけだった。TGクラブ入会への動機も含めて、このTGクラブメンバーとの差異が、この世界の夏海がライダーにならずにいる理由じゃないかって気がしてるんだけども。これで実はファム辺りに変身しちゃったら笑う。でもファムって闇ライダーって感じじゃないなぁ。
 対して千夏が持ってきたものは多分、本当にお宝だったわけですよね。わざわざ埋めたくらいだし。そしてそれが新フォームへのパワーアップのきっかけになるんだろうけどな。TGクラブへの入会動機も(まああれも一種の逃げと言えなくもないけど)自分を抑えて「いい子」でいるのに疲れた優等生の「自分探し」だったし、それは士の「自分の世界探し」と通じるものがあったしね。なんで、千夏は人間で、他の四人は千夏を狙ってるんじゃないかな〜とか。むしろパラロスの真理みたいに、レジスタンスのリーダーっぽい立ち位置だったりとかして(笑)


□士の世界?
 写真一つ撮っても世界から拒否され続けてきた士が、まるっと逆転して誰もが士を受け入れるわけですよね。気持ち悪い鳴滝といい、ネガ(?)音也といい。写真だってちゃんと撮れるし(でも栄次郎にイマイチだと言われてるところをみると、あれが「本来取れるべき(まともな)士の写真」じゃないんだよね、きっと)、幸運は降ってくると。そしてその幸運が、絵に書いたような(というかマンガっぽい)安っぽい金と権力と女という即物的なもの。これは受け入れられているようでも、ユウスケが言ったとおり誰が享受しても良かったものたちな訳で、それは明らかに「士の居場所」ではない訳ですよ。
 もちろん、士に対して幸福が降りかかったのは、士をネガ世界で懐柔しようとする策略という面もあるんだろうけど。士は最初から世界に違和感を感じてたみたいだし、基本的にとりあえずは罠っぽくても乗ってみる、というスタンスを今までも貫いてるんで、ノリノリで「坊ちゃま」やってるのはおもしろかったけど。


 しかし、士を懐柔する策略なんだとしたら、それは一体誰の意思なんだろうね。鳴滝っぽくはない気がするけど。鳴滝は誰かの策略に乗っただけって感じがするもんな。


■ネガ世界
 さっきも書いた「ライダーと人間が逆転している世界」ですね。

 そもそも「ライダー」・ライダーというのはヒーローだけども、マイノリティでもある。むしろ力を持ったマイノリティであるがゆえに、多勢の悪に立ち向かっていくことでヒーロー足りえる。じゃあ逆に、ライダーが力を持ったマジョリティであった場合はどうなる?ってのがこのネガ世界じゃないかと。
 力を持った多数派だからといって、力なき少数派を弾圧していいという理由には絶対にならないわけで、つまりネガ世界では「ライダー」はショッカーなり、デストロンなりの「巨悪」と変わらない存在になってしまっているんですよね。ゆえにヒーロー足りえるために必要なのは「力」ではなく「ライダーであるという思いや意志」ってことなんじゃないかな。オーソドックスに。それを再確認したとき、カードには9人のライダーの姿が戻り、ディケイドはパワーアップするんだろうと思います。

 そこに関係するのが、千夏がとってきたものかなぁ。写真立て(もしくはアルバム)だと思ってるんだけど。ディケイド世界においては、写真に写った像ってのは重要な役割を持ってるじゃないですか。ライダーの力を得ると、カードに姿が描かれたりとか。なので、その写真立てなりアルバムなりにTGクラブメンバーの写真を入れて埋めておいた→掘り起こしてみると写っているのは闇ライダーっていう流れになるんじゃないのかな〜とかさ。 で、その写真立てに本来の姿を取り戻したライダーのカードをセットすることで新たな力を得るんじゃないか…と思うけども。


■新フォーム
 でもあのフォームはねーよ(笑) それでも…それでも高岩さんなら……高岩さんならきっと何とかしてくれる!9人の仮面ライダーのカードが胸元で、使うフォームとかのカードが頭のホルダーにセット、ディエンドと同様そのフォームを呼び出して傀儡的につかうんだろうか…。
 それとも実は響鬼世界での「空我」が伏線で、ユウスケもKAMEN-RIDEしちゃうのか。実は姿は毎度変わるけど、常にダブルライダーだったりするんじゃないのか。どうなんだろう。


 しかしまあ、インパクトはあるよね、インパクトは。