路地裏散歩

特撮とかアニメとか感想と犬。

【小説】仮面ライダーアギト

 テレビの凝縮というか、メインテーマ になるところを引っ張り出してきて、キャラクター配置とか出番とか整理して再構築した感じですねー。555の「異形の花々」的というか。そのつなぎ目にな るところが真魚ちゃんで恋愛感情的なのも青春群像的に絡むから、なんかちょっと乙女ゲーの香りがします(笑) あと、構造が似ちゃったのか、やっぱり「異 形の花々」を髣髴とさせるところも少し。

 なんとなく、氷川が過去、涼が現在、翔一が未来って感じかなー、と。これはいろんな人に助けられて 成長して行く真魚ちゃんの物語と読むのが自然だと思うんだけど、他のかかわってくる三人が「仮面ライダー」であることを考えると、真魚ちゃんは「人間」そ のものの象徴なのかなーと。過去も未来も仮面ライダーが守ってくれるよ!ってすげぇ。
 もちろん、氷川、涼、翔一のそれぞれのドラマもテレビを下敷きにしつつぎゅっと凝縮されてていいですね。氷川の過去がテレビよりさらにしっかりしてる感じ なのが個人的には好印象。ただ、涼は可愛そう過ぎて泣ける。ちょ、まじもうほんとおま…っ。けどあれだ、一番作者に愛されてるのは多分涼だ。すごく典型的 な"男の美学"な匂いがしますね。

 氷川が更に純朴な感じに、翔一がちょっと黒めの方向に寄ってる感じがするから、その辺気になる人は気になるかも。これがやりたかったことの肝とそのためのキャラだとすると、役者フィルターってすごいですね!って。(笑)

 木 野さんとか真島くんとかダミアンとか真・津上翔一とか色々オミットされてるからボリューム的にはやや寂しいけど、その分三人の対比がくっきりしててなかな か興味深い。あと、真魚ちゃんの女の子なところがテレビより前面に出てる感。その分やや生々しいかな?その辺がまた乙女ゲーの風味になっちゃうんでしょう けど。

 これはこれでアリだし、私は嫌いじゃないけど、テレビがすべてって人は、別に無理に読む必要は無いって感じですかね。ただ、父越えの 物語より、さまよえる青春劇のイメージのが強くなってて、そういうところに興味があるなら読んでみてもいいかも。ただ、キャラクターの個別エピソードとか が好きな人にはちょっと残念かも。
北條さんのV1エピも無いしさ!でも最後に面目躍如するからいいかなって(笑)あと、小沢さんと北條くん的にはちょいちょい絡んでおいしい(笑)

 コンパクトにするために、あかつき号事件の概略そのものも大きく変わってるし、キャラに持たせるエピソードも統廃合されてるので、そういう部分にこだわりがある人には積極的にお勧めしないです。
 あと、すごく個人的には文章のテンポが合わなくて読みづらかった(笑)所々目が滑ってたので、今度また読み直そうかとー。